落語の団体っていくつある?どんな歴史?そんな落語団体について知りたい方に解説していきます。
東京の落語の世界には4つの団体があります。「落語協会」「落語芸術協会」「落語立川流」「五代目圓楽一門会」。
このなかで最大勢力を誇るのが「落語協会」と「落語芸術協会」です。
落語立川流は落語協会から脱退した立川談志がつくり、五代目圓楽一門会は落語協会から脱退した五代目の三遊亭圓楽がつくりました。
つまり元をたどれば落語協会に所属していたというわけです。
もっとも、落語芸術協会も落語協会からの分裂によってできたんですけどね。
ということで今回は二大派閥の「落語協会」と「落語芸術協会」についての歴史や現在の勢力図、そして代表的な落語家をご紹介します。
落語協会と落語芸術協会誕生の歴史
まずは落語4団体の誕生の歴史をサクっとご紹介。
個人事業主の集まりだからでしょうか、旗揚げ、合併、解散を繰り返す落語界ではありますw
落語家所属団体の歴史をひも解く
とにかく合併と分裂の繰り返し!
落語団体はとにかく分裂と合併を繰り返してますので、詳細を書いたら大変なことになるで、とりあえず上記の表を更に詳細に解説します。これもかなり端折ってはいますけどね。
落語協会と落語芸術協会の誕生までの歴史 | |
江戸時代 | 落語が人気急上昇!170軒以上の寄席が誕生。 |
明治8年 | 三代目麗々亭柳橋・三遊亭圓朝・六代目桂文治で「落語睦連」を結成し、はじめての協会が誕生。 |
明治20年代 | 早くも分裂か!「柳派」「三遊派」の二大派閥が誕生し15日毎の交替で興行を行うようになる。 |
大正6年8月上席 | 世紀の合併!「柳派」と「三遊派」が合体して「東京寄席演芸株式会社」を創設し月給制を取り入れる。 |
大正6年8月下席 | やっぱ仲良くできなかった。。それにしても早すぎっ!「東京寄席演芸株式会社」より五代目柳亭左楽が脱退。四代目春風亭柳枝らとともに「落語睦会(三遊柳連睦会)」を旗揚げ。 |
大正12年 | 関東大震災後、やっぱりこういうときみんなで助け合わないとってことで、五代目柳亭左楽が音頭をとり、すべての派閥が合併。現在の「落語協会」のルーツとなる「東京落語協会」を設立。 |
大正13年 | 助け合いはどこいったの? まだ翌年だよ。結局、様々な落語団体に分裂します。。。 |
昭和5年 | 六代目春風亭柳橋と柳家金語楼が、のちの「落語芸術協会(昭和52年)」のルーツとなる「日本芸術協会」を創設。 |
昭和21年 | 「東京落語協会」が「落語協会」として新発足。 |
昭和52年 | 「日本芸術協会」が「落語芸術協会」として新発足。 |
落語協会から円楽一門会と立川流が分裂 | |
昭和53年 | 真打昇進の忖度&えこひいきを感じた者たちが昇進基準や方針への反発から落語協会でまた例のごとく分裂騒動が発生。落語協会を抜けた六代目圓生が中心となって「三遊協会」を創設。ただし圓生一門以外はすぐに落語協会に復帰した。 この騒動をきっかけに、不透明だった真打昇進のプロセスを改めて、昭和55年に「落語協会真打昇進試験」が導入される。しかしこれがのちの立川流結成の原因となるのである。 |
昭和54年 | 落語協会より脱退し、これから頑張ろうとしてた矢先に六代目三遊亭圓生が死去し「三遊協会」は解散。そして三遊亭圓生の弟子たちは落語協会に復帰したが、五代目圓楽およびその一門は復帰せずに、現在の「円楽一門会」のルーツとなる「大日本すみれ会」を結成。1990年に「円楽一門会」に名称変更。 |
昭和57年 | 「落語協会真打昇進試験」での結果に怒った立川談志が、弟子とともに協会を脱会し「落語立川流」を創設。一門は家元制度にして、談志は初代家元となる。 |
令和3年 | 現在は「落語協会」「落語芸術協会」「落語立川流」「五代目圓楽一門会」の4団体。長かったけどついてこれました? プロレス並みに合併・分裂を繰り返してますね。 |
2つの協会の寄席活動と勢力図
次に落語家の団体について疑問を持つ方に、各団体の基本情報から勢力図、寄席についてや代表的な落語家までご紹介!
集計は2021年6月時点です。
落語の団体って何人ぐらいが所属している?
落語協会310人(54%)、落語芸術協会166人(29%)、立川流57人(10%)、圓楽一門会37人(6.5%)です。意外と落語協会と落語芸術協会では倍以上の差がついてます。
ちなみに協会には、漫才、マジック、紙切り、俗曲・都々逸などの芸人も所属しています。
所属団体が違うと同じ寄席の舞台には立てません!
毎日落語をやっている東京の定席の寄席は4軒。「上野鈴本演芸場」「新宿末廣亭」「浅草演芸ホール」「池袋演芸場」です。
4軒とも一ヶ月を10日ずつで分けて上席・中席・下席とし、1日は昼の部と夜の部に分かれています。
上・中・下席ごとに落語協会と落語芸術協会が交替で出演するのですが、「上野鈴本演芸場」だけは落語協会所属の落語家しか出演できません。
所属団体の違う落語家が同じ日のプログラムに出ることは基本的にありません。
また立川流や圓楽一門会はそもそも4軒の定席寄席に出ることはできません。
※寄席とは一般的に毎日落語中心の演芸をやっている定席寄席のこと。
各団体の落語家って仲悪い⁉
昔は仲違いもあったのかもしれませんが、今は違う団体に所属しているからといって、仲が悪いとかは基本ないようです。
寄席では一緒になることはありませんが、劇場やホールなどで開催されるいわゆるホール落語では、一緒に共演しますし、テレビやYouTubeでも共演などもしています。
「笑点」は協会の枠を越えて出演する特別な番組
レギュラーメンバーになる前の春風亭一之輔さんが、「笑点にでてる人以外にも落語家っているんですね」と言われたとYouTubeで冗談ぽくいってましたが、落語家という人たちに関する社会の認知度が確かにそれくらいかもしれません。
だから笑点の影響力はすごい。
視聴率も15%超えをコンスタントに出してますから、間違いなく落語家が出てる番組の代表と言っていいと思います。
そして実は笑点のすごさは、本来「寄席」では一緒の舞台に並ばない落語家が、協会の壁を超えて出演してるとこなんです。
笑点メンバーの所属してる協会
各団体ともきれいなぐらいバラバラに出演してます。
立川流からは残念ながら出演してません。誰かが入ったら面白いですが、意外と笑点メンバーになることを敬遠する人もいると聞きます。
笑点という番組の大きさゆえ、決まったイメージがついてしまうのを嫌う人もいるので。。
現在の笑点メンバーもわかりやすいように“キャラクター”というのがついてますよね。
実は笑点という番組を発案したのは立川談志です。テレビで落語をやるとなると漫才のように短い時間で公演するのが難しいので、CMを入れるのが難しい。
それで談志が、昔に寄席でよくやっていた「大喜利」を主体とした番組を企画し日テレに提案して実現しました。
...落語協会
林家たい平…元気キャラ
春風亭一之輔…毒舌キャラ
...落語芸術協会
春風亭昇太…独身キャラ改め新婚キャラ
三遊亭小遊三…エロキャラ
桂宮治…明るいひょうきんもの
...圓楽一門会
三遊亭好楽…ノーマル
...立川流
立川 晴の輔
落語協会と落語芸術協会について
落語団体の落語協会と落語芸術協会についての詳しいご紹介です。
一般社団法人「落語協会」の情報
...落語協会Twitter
落語協会のお知らせや所属する落語家や寄席のリツイートをおこなっています。
...落語協会HP
最新情報、協会員芸人のプロフィール、落語会の情報、各種リンク集などのコンテンツがあります。
落語家達の運営するYouTube一覧表などもあり。
...役員
【会長】柳亭市馬
【副会長】林家正蔵
【常任理事】柳家小さん・柳家さん喬・入船亭扇遊・林家たい平・柳家喬太郎
...落語家258人の内訳
落語協会には落語家258人が所属しています。
・真打ち162人
・二つ目68人
・前座28人
・ほかに講談師3人など
...代表的な落語家
・柳家小三治…人間国宝!
・林家正蔵…元こぶ平でおなじみ
・柳家喬太郎…現代落語のトップランナー
・林家木久扇…木久蔵ラーメン!
・春風亭小朝…1980年代の落語界を牽引
・林家たい平…笑点でおなじみ
・春風亭一之輔…年間700高座出演の現代落語の旗手
・柳家三三…情熱大陸出演の古典の名手
公益社団法人「落語芸術協会」の情報
...落語芸術協会HP
寄席の出演者スケジュールや落語会の予定表、協会員プロフィールから代表的な演芸場の紹介や落語のあらすじなどの初心者向けコンテンツまでそろっている充実したHPです。
※Twitterはありません。
...役員
【会長】春風亭昇太
【副会長】春風亭 柳橋
【理事】三笑亭茶楽、三笑亭夢太朗、古今亭寿輔、桂歌春、柳亭楽輔、柳家蝠丸、瀧川鯉昇、桂小文治、桂小南、桂竹丸、三遊亭遊吉、桂文治、春風亭柳好、三遊亭圓馬
...落語家165人の内訳
落語協会には落語家165人が所属しています。
・真打ち102人
・二つ目47人
・前座16人
・ほかに講談師18人など
...代表的な落語家
・春風亭昇太…笑点の司会でおなじみ
・桂米丸…勲四等旭日小綬章受章
・桂米助…隣の晩ごはん!
・三遊亭小遊三…ご存知、明るいキャラの人気者
・瀧川鯉昇…落語通を唸らせる達人
・桂文治…滑稽噺一途の元気者
・神田伯山…講談をメジャーにしつつある立役者
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