いまや落語界きっての正統派のひとり。柳家三三師匠。
人間国宝の落語家「柳家小三治」に弟子入り後、芸をみがき今やその実力は周知の事実。落語の話芸の上手さにおいてはすでに二ツ目時代にある程度完成していたとも言われています。
落語好きの玄人肌から、落語を堪能したいと思う入門者まで満足させる。そんな柳家三三師匠の経歴・魅力・おすすめ演目などをご紹介します。
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春風亭一之輔、柳家喬太郎、桃月庵白酒、
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プロフィールと経歴
▼落語家になるまで落語家になった後
- 落語に興味をもったきっかけは小学校1年生の時にテレビで落語みて心を奪われた時。
- 1987年の8月20日に浅草演芸ホールで後の師匠になる柳家小三治を見て衝撃を受け、寄席がいよいを始める。
- 中学2年で月に1・2回は寄席に通い、落語の本を読み、将来は落語家になるぞと決めた。
- 中学2年の頃に柳家小三治に中学卒業後に弟子にしてくださいと頼む。今は大学出の落語家がいる時代。知識も人生経験もないのに難しいと断られる。
- 高校卒業後の1993年に弟子入り志願を再トライ。無事入門が認められる。
- 1993年に新宿末広亭にて初高座、1996年に二ツ目昇進、2006年に真打昇進。
- 2007年文化庁芸術祭大衆芸能部門新人賞受賞
- 2010年花形演芸大賞大賞受賞
- 2010年情熱大陸に出演
- 2021年10月10日師匠の柳家小三治死去
▼古今亭文菊のエピソード集
- 実は人前で話すことが苦手。落語以外ではあまり人と話をしない。
- 入門当初は師匠の家に通い&住み込みで洗濯や掃除していた。
- 若くして真打になったとき自分の思いより人気があり戸惑った。
- 師匠は厳しく入門した人の半分ぐらいはクビになった。
- 実は師匠小三治から噺を付けてもらったことがない。
- 師匠が亡くなる前日に自宅で普段とかわらない会話をした。
柳家三三の魅力とオススメ演目
柳家三三の魅力と、その魅力が詰まったオススメ演目をピックアップ!
私2021年10月7日(木)に行った霞が関のイイノホールで開かれた「月例三三 柳家三三一人会」の中から、三三さんの魅力が詰まった落語をご紹介します。
「月例三三独演」の主催は三三さんご自身。自分のなかで勉強会という位置づけで他でやらない噺や以前高座にかけて出来に納得できなかった噺をするという位置づけらしいです。
▼公演情報
◯出演者:柳亭市若、柳家三三
◯開催日:10月7日(木)
◯開演:18:30〜
◯料金:3,800円
◯会場:イイノホール
▼プログラム内容
〈1〉柳亭市若 『初天神』
〈2〉柳家三三 『芋俵』
〈3〉柳家三三 『目黒のさんま』
〈4〉柳家三三 『不動坊』
『芋俵』のあらすじと感想
「継続は力なり。神様は見ていてくださる。しっかりと泥棒を務めよう。役所行って、持続化給付金もらってくるか」という泥棒の会話から『芋俵』へ。
泥棒が二人。兄貴分の泥棒がいいことを思いついた。弟分の泥棒に話す。
芋俵のなかに、芋ではなく弟分を入れる。夕方、盗み先の店の前に着いたところで、天秤棒を担ぐ二人が芋の釣り銭をもらうのを忘れた、と話す。
釣り銭をもらいに行っている間、芋俵を預かっておいてくれと店の者に頼む。で、引取りに行かない。店では、店を閉めた後、芋俵を店先に置いておくわけにいかないから、土間に放り込んでおくだろう。
夜中、店のみんなが寝静まったところで、芋俵に入っていた弟分が店の心張り棒(扉が開かないようするためのつっかい棒)を外す。兄貴分が押し込む。という段取り。
考えてみたら、二人で天秤棒を担ぐので、芋俵のなかに入るもう一人が必要。ちょうどやってきたのが松公。ちょっと頼りないが、言いくるめて、芋俵のなかに押し込んだ。松公は芋俵のなかで座っているというカタチ。
予定どおりに芋俵を店に預かってもらうことに成功。店の小僧、定吉が芋俵を転がして土間の隅に立てかける。でも、芋俵はそこで上下逆になってしまう。芋俵のなかの松公は、いまおしりが上にある。
夜中、空腹に耐えかねた定吉が、なにか食べるものがないかと店のおきよどんに尋ねるが、なにもないという。ここで芋をくすねて食べようと考えた定吉、おきよどんといっしょに、真っ暗な土間に下りる。
俵の間から手を入れて芋を引き出そうとするが、ぐにゃぐにゃしてへこんだりする。腐ってる? それになんだか温かい。焼き芋? そんなはずはない。
おしりをなでられて我慢できなくなった松公、思わずおならを「ブーっ」
定吉「気の早いお芋だ」
冒頭「芋俵のなかに人を入れて、店のなかに送り込んでおく」という計画を滔々と語る、兄貴分の泥棒。その語り口は、リズム&メロディを感じずにはいられないまさに正調江戸落語。
そうそう、これを聴きたかった! 一席目の冒頭で早くも求めていたものが叶えられてしまうww
これ、江戸落語を聴く快感ですよね。
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▼ところどころで挟みこむギャグも爆笑!
●天秤棒で担がれた芋俵のなかの松公。担がれて揺れるものだから、足が痛くてたまらない。
「山田く〜ん、座布団ほしい〜」
●楽器ケースのなかのゴーン公は成功したんだけどねえ。
『目黒のさんま』のあらすじと感想
金木犀の香りの話から、ダンヒルの香水の話へ。おしゃれな古今亭志ん生師匠がその香水を愛用していて、三三さん、街なかでその香りをかぐと、志ん生師匠がいるのではないかと、いまでも周りを見渡してしまうのだそう。
江戸落語のリズム&メロディといえば、なんといっても古今亭志ん生師匠にトドメを刺すのですが、その芸の系譜を感じさせるエピソードにうれしくなってしまった。
そんな人、会場内にたくさんいたんじゃないかと思います。
その芳しい香りは、さんまを焼いた、あのわかりやすい香りへww
あらすじと感想
殿様は、高級な魚、鯛の塩焼きをちょっとだけ食べるのがキマリ。天気の良い秋のある日、目黒へ遠乗りに出かけた。目黒まで馬を走らせ、そこで家来たちと駆けっこもして腹を空かせた殿様。
急に思い立っての遠乗りだったので、あわててあとを追いかけた家来の誰も殿様の弁当を持ってきていなかった。
そこへ、なにやら美味しそうな香りが漂ってくる。家来に聞くと、さんまを焼いている香りだという。さんま? 殿様は、庶民が食べる下魚、さんまを知らなかった。食べてみたら、すこぶる美味い。
一気に十本食べてしまう。それ以来、さんまがアタマのなかから離れない殿様に、やっとさんまを食べる機会がやってくる。。
▶『目黒のさんま』のあらすじ、詳しくはこちらをご覧ください。
オリジナルのくすぐりをたっぷり入れた、とても楽しい『目黒のさんま』でした。そのいくつか。
●殿様と家来たちが駆けっこしたが、その一人、河野はだいぶ遅れた。
※その前に歴代の総理大臣の名前が出てきているので、河野が誰か、観客には伝わっている。総裁選とワクチンにかけて。
殿様「今回は惜しくもなかったのう」
河野「弁当はありません。ワクチンはあります」
●弁当がないので、殿様は腹が空いてたまらない。
殿様「マクドナルドはないか」「その方らが運んでこられぬというのであれば、ウーバーイーツに頼んで運んでまいれ」
●さんまがあまりにも美味いので、仕舞にはさんまにかじりつく殿様
家来「殿、品がござりませぬ」
殿様「金メダルにかじりつくよりは良いであろう」
語り口としぐさの確かさに、このくすぐり。楽しくないわけが、ござりませぬww
『不動坊』あらすじと感想
一人ものの吉兵衛に、長屋のお滝と結婚しないか、と大家。お滝は、講談師・不動坊火焔の女房なのだが、その不動坊、巡業先で死んでしまい、実はけっこうな借金が残されている。
その借金の面倒を見ることも含めて、お滝といっしょにならないか、という。お滝は美人。吉兵衛は会ったその時からお滝に惚れていた。喜んでこの話を受ける。
湯屋に行って、自分の結婚のこと、恋のライバルたちの悪口を一人口走る吉兵衛。それをそのライバルのうちの一人が聞いていた。
やがてライバルたちが集まり、この結婚を破綻させるために、不動坊の幽霊を仕立てて脅かそうと決める。幽霊役は幽霊噺に慣れている前座の落語家。紐につるされて、吉兵衛の長屋のへっついのところに降ろされたが。。
▶『不動坊』のあらすじ、詳しくはこちらをご覧ください。
「お滝は元々自分の女房。不動坊にちょっと貸してやっていただけ」という自己暗示で正気を保っていた吉兵衛は、お滝との結婚が決まって大喜び。
湯屋の番台に対して
「ほっほっほぉ〜、どうしたのって聞きたくないの?」
「ほっほっほぉ~、相手が誰か知りたくない?」
「ほっほっほぉ~、内緒ぉ」
この吉兵衛の上機嫌ぶりがやたらに可笑しかった三三さんの『不動坊』
ライバル三人組中のドジ役、ちんどんやの万さん。幽霊登場の際の薄どろ(大太鼓を長ばちで弱く小刻みに打つ効果音)で「お滝さん。おれの気持ちを太鼓にのせます」と言って太鼓を思いっきり叩くシーンも会場を沸かせてました。
柳家三三のスケジュール
柳家三三さんはスケジュールを簡単に確認できるのがチケットぴあ。もちろん寄席だとかぴあで販売してないものは載ってません。
ま、確実にチケットがあるなということはわかります。全部のスケジュールを知りたい方は柳家三三さんは充実したHPをもっているのでそこをみれば基本的にはわかります。
柳家三三のDVD作品「柳家三三 二十周年DVD集」
2009年1月〜2011年12月までの独演会「月例三三独演」での高座を収録。3枚組DVDBOX。こんだけ人気落語家なのにCDやDVDや音源等を積極的に発売していません。
このDVDのみ。三三ファンは必見!
〈三三独演収録演目〉
【一ノ巻】不孝者、幇間腹、魚屋本多、三枚起請、首提灯、明烏
【二ノ巻】短命、意地くらべ、お化け長屋、看板のピン、言訳座頭、道灌
【二ノ巻】釜泥、豊志賀、万両婿、のめる、不動坊、鰍沢
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