面白い落語漫画『あかね噺』のあらすじ・登場人物・用語を徹底解説!

あかね噺 落語雑学
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2022年11号から週刊少年ジャンプで連載中のあかね噺。

落語を題材にした漫画ですでに第二巻まで好評発売中!

「次にくるマンガ大賞2022」の第三位にも選ばれた、今注目の漫画ですが、落語を知らない人の為に漫画の中にでてくる、落語独特の言葉落語の世界などを含めて簡単に解説したいと思います。

▶あかね噺/HPTwitter
※公式サイトで試し読み可能です。

【あらすじ】
真打昇進試験に不合格となり、阿良川流のトップ「阿良川一生」より、破門を言い渡された「阿良川志ん太あらかわしんた」。今は落語家を諦めサラリーマンとして働く。

そんな父親「阿良川志ん太あらかわしんた」の無念を晴らすべく、娘で女子高生の桜咲朱音おうさきあかねが父親の師匠「阿良川志ぐまあらかわしぐま」に弟子入り。

6年の修行を経て、高校卒業後に落語界の最も高い位置真打」を目指すという話。

※ちなみに落語では落語のお話を「演目」と呼び。演目は話と同じ意味の「はなし」とも呼びます。

記事の簡単な内容
  • 登場人物の紹介と相関図
  • 真打?前座?弟子入り?などの用語解説
  • 女性落語家の現状について
  • 漫画にでてくる落語の演目のあらすじとは?
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登場人物と関係性

あかね噺では主要人物は「阿良川流」という落語の一門に所属してします。一門とは同じ“チーム”や“派閥”のようなものです。

一門は師匠とその弟子、さらに弟子が出世して弟子をとるようになり、その孫弟子みたいな感じで弟子入りを希望する人気度によって、人数が沢山いたり少なかったりします。

また、同じ「阿良川◯◯」のように名字(落語だと亭号という)のようなものが、共通していることも特徴です。基本的には師匠と同じ亭号を名乗ります。(例外あり)

登場人物紹介

あかね噺相関図

志ぐまとその弟子

阿良川志ぐまあらかわしぐま〈師匠・真打〉

父「阿良川志ん太」、「桜咲朱音」の師匠。阿良川一門のナンバー2で阿良川一生の弟弟子(同じ師匠に入門した後輩)。”泣きの志ぐま”と呼ばれる人情噺の名手。

桜咲朱音おうさきあかね主人公・見習い

落語家を目指す17歳の女子高生。父親の阿良川志ん太の師匠「阿良川志ぐま」に弟子入りし、落語家を目指す。
本名/桜咲朱音
師匠/阿良川志ぐま

阿良川志ん太あらかわしんた〈父親・二ツ目〉

桜咲朱音の父親。阿良川志ぐまに入門して13年して真打昇段試験に挑戦するも、破門となり落語家をやめる。
本名/桜咲徹
師匠/阿良川志ぐまの元一番弟子。
現在の職業/コンクリートを売買する流通業者へ就職

阿良川あらかわぐりこ〈二ツ目〉

阿良川志ぐまの弟子。師匠が女子高生(朱音)と密会してると勘違いして、後をつけた勢のいいオッチョコチョイ。妹弟子の朱音のことを常に気にかけている。第一巻では粗忽そこつ(オッチョコチョイ)のTシャツを着ていたので、自分でもわかってるかも。

一生とその弟子

阿良川一生あらかわいっしょう〈真打〉

阿良川流の現在トップで名人といわれる落語家。真打昇段試験で阿良川志ん太を含む、受験者全員を破門にした。昭和の名人「立川談志」がモデルとされている。立川談志は立川志らくの師匠です。

阿良川魁生あらかわかいせい〈二ツ目〉

普通は約5年かかると言われる中で、入門二年目の19歳で二ツ目出世する異例の昇進。師匠の一生がその実力を認め、全員破門となった真打昇進試験以降に二ツ目に昇段させた、唯一の弟子でもある。イケメンで色気もある。

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落語の基本知識

新宿末廣亭AC

簡単に落語の基礎知識として下記のことを覚えておくと、さらに「あかね噺」を楽しめます。

落語の基礎知識
  • 落語には東京中心の「江戸落語」と大阪中心の「上方落語」がある。
  • 落語には江戸〜明治時代に作られた「古典落語」と大正時代以降に作られた「新作落語」がある。
  • 落語には笑い話の「滑稽噺」と感動話などストーリー重視の「人情噺」の2種類がある。
  • 落語の噺は10分程〜1時間に渡るものまである。長いネタは「大ネタ」と呼ばれる。
  • 登場人物は貧乏な家の住人、裕福な商人、偉い殿様まで様々
  • マクラ」とは演目に入るまでのフリートークの事。マクラの後に演目が始まりオチで終了。
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あかねのような女性落語家は実際いるのか?

▲左上:林家つる子、真ん中:蝶花楼桃花、右上:立川こはる

落語の噺にでてくる主人公は基本男性であり、男性目線の落語がばかりなので、長らく女性が落語をやるのは無理という意見が、落語界および落語ファンの中にもありました。

落語は江戸時代から続く芸能ですが、女性落語家が誕生したのは遅く、1975年の2代目露乃五郎に入門した「露の都」さんが初でした。

2022年現在では東京に落語家のうち男性が600名女性落語家は約30人で真打が14人ほどいます。

▼今人気の女性落語家

蝶花楼桃花(真打)
2022年3月に真打昇進。なんと2022年9月に女性初の笑点大喜利出演!元々ミュージカル女優に憧れ劇団にも所属していた、41歳の美人でキュートな落語家。ちなみに大人AKB48オーディションを受験し、最終審査まで進出もしてます。

立川こはる(二ツ目)
男前な落語をする落語家。女性ながら男性向けの落語を違和感なく演じる。阿良川一門のモデルともいわれる「立川談志」の弟子の立川談春の弟子。

桂二葉(上方落語には昇進システムなし)
芸人で最高のコンテストといえばMー1。若手落語家では「NHK新人落語大賞」になります。その賞を女性として初受賞。甲高い声とオカッパがトレードマークの人気・実力を兼ね備えた女性落語家。

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漫画に登場の落語演目のあらすじ

あかねの素材

あかねの演じた演目「まんじゅうこわい」「子ほめ」「三方一両損」「転失気」、父の志ん太が真打昇段試験で演じた「芝浜」と冒頭で演じてる「大工調べ」について、簡単なあらすじの解説です。

より詳しいあらすじ等はリンクをクリック!

●まんじゅうこわい
みんな怖いものは何かと無駄話をする仲間達。一人の男が何も怖くない。強いて言えば俺はまんじゅうがこわいと発言。みんなは「怖いものなんてない」と、カッコつけていう男にちょっとムカついた。そこで、いたずら心で寝てる男をまんじゅう攻めにする。隙間から隠れてみてみると、怖がるかと思っていた男は、怖い怖いと言いながら、結局まんじゅうを美味しく食べてしまう。してやられた。

●子ほめ
ご隠居からお世辞の言い方をアドバイスされた八つぁん。年相応より年齢を若くいえと言われ、そのとおり実践。友達の家の1歳の子供をみて、若いねーまるで0歳に見えるといってしまう。

三方一両損
男は三両を拾った。持ち主の見当はついた。だから、持ち主がわかった以上返すのが当たり前。そこで落とし主に返しに行くのだが、いらないと断られる。落とし主はこのお金は自分の財布を嫌って出ていった、そんな薄情は金は要らないといい、けして受け取らない。それで二人は受け取れ、受け取らないの喧嘩に発展し、長屋の大家が仲裁にはいる。一旦収まったがまた喧嘩が始まった。そこで奉行所に訴え出る。

●転失気
転失気(おなら)の意味を知らなかった和尚。しかし知ったかぶり和尚は知らないと言えない。調べろと命令された小坊主は、色んな人に聞き転失気=おならだと知るが、いたずら心で和尚に嘘を教える。そして和尚は得意げに語り恥をかく。

●芝浜
ダメ男は仕事もせず大金を拾って酒浸り。そんな亭主をみて妻は心をいれかえてほしいとあえて大金を隠す。起きてみると拾った財布がない。妻に夢だったのではといわれ、落胆する旦那。でもこれを気に夢みたいなこと言ってては駄目だと、心を入れ替え仕事に励む。その3年後、亭主は頑張り自分の店ももった。妻はついに本当のことを打ち明ける。旦那は妻の気持ちを知って、その嘘をゆるし感謝する。

●大工調べ
意地悪な大家に弟子は借金のカタに商売道具をとられてしまった。怒った弟子思いの大工の棟梁は裁判を起こす。

真打?階級?昇進?等の落語用語解説

210605桂宮治真打披露興行よみうりホール

落語に馴染みのない方には難しい専門用語がでてきたり、あかね噺をみて最っと詳しくなりたい人に丁寧に解説します。

落語家の真打とは?階級とは?

昇進システム

落語家は入門して見習い→前座→二ツ目→真打と昇進していきます。

真打になるのは平均12年かかると言われています。あかねの父「阿良川志ん太」は二ツ目。入門から13年して真打昇段試験に挑戦しています。

見習い時代は楽屋に入れず主に雑用。前座になると高座で落語ができます。二ツ目では自分で営業して仕事をとってこないとなりません。

そして真打となると一人前の落語家として認められ、師匠と呼ばれ弟子を取ることも可能です。ここからが本当の人気・実力が試されます。

あかね噺では真打を落語界の最高位のような言い方をしてますが、現状では落語界は逆ピラミッドになっていて、むしろ真打の方が多い状態です。

その数、全体の65%が真打

▼東京の落語家区分(総数545名中)

  • 真打352名
  • 二つ目120名
  • 前座79名
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あかね噺のモデルは立川流⁉真打昇段試験とは?

真打まで約12年

真打昇進の条件は落語家が所属する団体毎に違うので、それぞれ昇進のルールも違います。

現在東京にある落語団体は4つあります。

東京の落語団体
  • 最大派閥「落語協会〈310人〉
  • No.2「落語芸術協会〈166人〉
  • 立川談志が創設「立川流〈57人〉
  • 三遊亭円楽率いる「圓楽一門会〈37人〉

あかね噺にでてくるモデルは「立川流」と言われ、立川流だけ特殊で、実際に二ツ目昇進時には落語家が演芸場で落語を披露し、観客とそれを聴いた師匠方が判定することもあります。

※ちなみに「真打昇段試験」は落語界的には「真打昇進試験」と言われることが多いです。

▼漫画のモデル「立川流」の昇進条件
「二つ目昇進」は落語50席+歌舞音曲を覚える。
「真打昇進」は、落語100演目+レベルの高い歌舞音曲を覚える。
※歌舞音曲は都々逸・長唄・かっぽれなどの伝統芸能

落語協会、落語芸術協会圓楽一門会の昇進条件
昔、落語協会は真打昇段試験を実施してましたが、今は3つの団体とも基本的に芸歴順で昇進するただ、先輩を抜いて昇進する「抜擢昇進」があります。

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弟子入りとは?

亭号名刺

弟子入りは真打の落語家さんに直接申し込みます

自分の好きな師匠の落語会や寄席と呼ばれる落語専用の演芸場の前で、出待ちしたりして申し込みます。

断られる場合も、すんなり弟子入りが許される場合も師匠やタイミングによって様々。昔は中卒でということもありましたが、今は大学卒業後や社会人を経てなど色々あります。

師匠の教育方法も様々で厳しい人もいれば、放任主義の方、また稽古をしてくれない人などもいます。素行の悪さで弟子が破門されることも。

ちなみに笑点に出演するピンクの着物をきた「三遊亭好楽」さんは、なんと23回も破門されています。理由は酒グセ。。

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