落語って興味があるけど初心者には難しいんじゃないの?
確かに落語は江戸時代の話がほとんどなので言葉の意味がわからないという場合もあります。
ただ、実は内容的には難しくない。少し言葉がわかりづらいだけ。
ここではみなさんに、初心者から落語好きまで楽しめる有名古典落語を10選をご紹介。
古典落語への入り口としていただけるよう、「簡単なあらすじ」「落語の動画」「落語好きの視点」と、わかりやすい内容でご紹介します。
ちょっとだけイントロ。落語のカンタン基礎知識です。
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寿限無(じゅげむ)
.滑稽噺. .親子. .言い立て.
◎時間がない方へ超要約こんな話
和尚さんに生まれてくる子供の名前の相談をした。和尚は色んな候補を出す。決められないお父さんはその候補を全部つけた名前にしてしまう。そのせいでタイヘン。
簡単なあらすじ
初めての子供をさずかり喜びでいっぱいのお父さん。その男の子の名前をどうしようかと悩み、和尚さんを訪ねた。「縁起の良い言葉を」というお父さんのリクエストに、和尚さんはめでたい言葉を次々に口にしては、その由来も語る。
ありがたくてお父さんはどれか一つ選ぶということができない。だから和尚さんが口にした名前を全部くっつけてしまう。
寿限無寿限無・五劫のすりきれ・海砂利水魚の水行末(カイジャリスイギョのスイギョウマツ)・雲来末風来末・食う寝ねるところに住むところ・やぶらこうじのぶらこうじ・パイポパイポパイポのシューリンガン・シューリンガンのグーリンダイ・グーリンダイのポンポコピーのポンポコナの長久命の長助
めでたさは満点。でも日常生活は滞ってばかり。両親やお友達が名前を呼ぶ。その度に「寿限無寿限無・・・」とフルバージョンで呼ぶので、時間がかかってしょうがない。
ある日、頭にたんこぶをつくったお友達の亀ちゃんがやってきた。
亀ちゃん〉寿限無寿限無…長助ちゃんがおいらの頭をぶったんだよお
寿限無のお母さん〉お父さん!うちの寿限無寿限無…長助が亀ちゃんの頭をぶったんだって
寿限無のお父さん〉なに?うちの寿限無寿限無…長助が亀ちゃんの~
三人が名前を言い終えたころには、亀ちゃんのコブはもう引っ込んでいたのでありました。
落語好きの視点
長い名前をスラスラと立板に水のごとく一気に話す落語家の「言い立て」を楽しむ噺。なので名前がこれでもかと何度も出てきます。はた迷惑な名前ですが、愛にあふれた親の願いを込めたある種のキラキラネームでもありますね。
死神
.人情噺. .死神.
◎時間がない方へ超要約こんな話
ある男の前に死神が現れて俺の言うことを守れば幸せにしてやるという。しかし男は約束を破り最後は。。。
簡単なあらすじ
なにをやってもうまくいかない借金まみれの男が自殺しようとしているところに、みすぼらしく老いぼれた姿の死神がやってくる。
「お前はまだ寿命があるから、死なない。金の儲かる方法を教えてやろう。医者になれ」という。
「いいか、寝たきりの病人のそばには死神がいるだろ。死神が枕元に座っていれば、病人はもう助からない。その時は諦めろ。だが足元に座っているときに、呪文をとなえれば、死神は消え、やがて病が治る。」。死神はそういった。
半信半疑で男は医者を始めた。死神の言ったことは本当だった。男は名医として評判になり、金を儲けまくったが、それを遊んで使い果たす。
そんな折、ある大店(おおだな)から主人を診てくれと頼まれる。1日でも長く生かしてくれたら大金を払うという。死神は枕元にいたので本来は諦めなければならないが、男は妙案を思いついた。
大店の奉公人から若い衆を4人出してもらい、病床の4隅に座らせた。そして夜中、死神が居眠りを始めたところで、いまだとばかりに合図する。若い衆はそれぞれ布団の4隅を持ち上げてクルリと180度回転。死神の前に病人の足元がやってきたところで、男は呪文をとなえた。
怒った死神がまた男のところへやってきて、火のついた無数のロウソクが並ぶ洞窟へ連れていく。見ると、今にも消え入りそうなロウソクの隣に、明るく燃え盛るロウソクがある。
「もうすぐ消えるのはお前のだ。明るい方は、お前が助けたあの病人。元は逆だったのが、お前があんなことしちまったからな」と死神。
「助けてくれ!!」男は叫んだ。
「じゃあ、この蝋燭にその消そうな火を移してみろ」死神は新しい蝋燭を差し出す。
「早くしないと、消えちまうぞ!」男は緊張のあまり手が震えてうまくいかない。
やがて火が消えた。男はドスンと倒れ、死んでしまう。
落語好きの視点
基本は怖い噺ですが落語の中に出てくるフザケた呪文の言葉「アジャラカモクレン。テケレッツのパ」と、布団を回すという妙案はとてもユーモラス。でもラスト、死にたくないと男が必死になるシーンでは緊張もピークに達し、思わず手に汗が。。。
落語家によってオチが変わるところもこの噺の魅力です。
芝浜
.人情噺. .夫婦愛.
◎時間がない方へ超要約こんな話
ダメ男は仕事もせず大金を拾って酒浸り。妻は心をいれかえてほしいとあえて大金を隠す。旦那は夢を見たんだなと心を入れ替え仕事に励む。その3年後、妻はついに本当のことを打ち明ける。旦那は妻の嘘をゆるし、感謝する。
簡単なあらすじ
勝五郎は天秤棒の前後の桶に魚を入れて売り歩く魚屋。腕はいいが無類の酒好きがたたって借金だらけの貧乏暮らし。ある日、女房に叩き起こされて芝の市場へ魚の仕入れに行ったところ、市場はまだ開いていなかった。どうやら女房が時間を間違えたらしい。
時間を持て余した勝五郎は、顔を洗おうとした芝の浜で革の財布を拾った。開けてみると大金が入っている。勝五郎は市場に行かず、家へ帰り、長屋の連中を呼んでどんちゃん騒ぎをして酔いつぶれて寝てしまった。
翌朝、「この支払い、どうしてくれるんだよう」という女房に「昨日、大金の入った財布を拾ったじゃねえか」と勝五郎。「なんのことだい? あんた、金ほしさに夢でも見たんじゃないのかい」と言われ、ついに勝五郎も心を改めた。
それから3年。酒を断って懸命に働いた勝五郎は、念願かなって小さいながらも表通りに自分の店を持つこともできた。
その年の大晦日、除夜の鐘が遠くから聞こえてきた夜。申し訳なさそうにうつむく女房の手にはあの革の財布が握られていた。勝五郎は激怒する。「てめえ、騙したのか」
実は長屋の連中を呼んでバカ騒ぎをして勝五郎が寝てしまったその後、女房は長屋の大家に相談に行っていた。拾ったとはいえ、元は持ち主のある金。横領ということになれば勝五郎の首が飛ぶ。ここは正直にお上に届けよう。
勝五郎を罪人にしないためにはそれしかない。金は3年後、落とし主現れずで、払い下げになったのだ。女房の胸の内を知った勝五郎は、ただただ女房に感謝するばかり。
「ねえ、お前さん、お酒、飲もうよ」
勝五郎は3年ぶりの酒を前にして、口のところまで持ってきた。そこで手が止まる。
「よそう、また夢になるといけねえ」
落語好きの視点
ひたすら亭主のことを思い、黙って耐え忍んだ3年間の女房の辛さを思い、勝五郎とともに、聞く者もまた涙。まるで良くできた短編映画のような、人情噺の代表作。
まんじゅうこわい
.滑稽噺. 長屋噺. .若い衆.
◎時間がない方へ超要約こんな話
まんじゅうを怖いと言ったために嫌がらせでまんじゅう攻めにされた男。でも男はまんじゅうを怖い怖いと言いながらおいしく食べてしまう。
簡単なあらすじ
若い男たちが何人か集まって「なにが怖いか」について一人ずつ話している。「へび」「カエル」「なめくじ」と、みんな身近な生き物が怖いという。
最後に指名された熊さんは「人間は万物の霊長だ(人間は地球上で一番偉い)。怖いものなんてない」と自信満々でうそぶく。「本当に怖いものがないのか」と念を押されると、ぼそっと「あ、ひとつだけ怖いものがあった。饅頭が怖い」。
饅頭の話をして気分が悪くなり隣の部屋で寝込んでしまった熊さん。他の連中は、いつも人とは違うことを言って偉そうに振る舞う熊さんをこの機会に懲らしめようと思い立つ。手分けしていろんな饅頭を買ってきて、布団を被って寝込んでいる熊さんの枕元に山盛りにして置いた。
しばらくして熊のうろたえた姿を見てやろうと隣で寝てる熊の様子を覗いてみる。するとなんと熊さん、両手に饅頭を持ってパクパク食べている。「いあー怖い怖い。こんな怖いもん早く食べちまわねえと」
みんなは騙されたと怒りながら言う。「やい熊、本当はなにが怖いんだ?」
熊は言う「今は熱いお茶が怖い」
落語好きの視点
嫌いなものを聞かれ、だれもが考える嫌いなものじゃなく小さくて可愛い「饅頭が怖い」というその意外性がこの噺のキモ。饅頭だから面白い!
転失気(てんしき)
.人情噺. .知ったかぶり.
◎時間がない方へ超要約こんな話
転失気(おならの別名)の言葉の意味を知らない知ったかぶり和尚が、小坊主にだまされてしまう話。
簡単なあらすじ
具合が悪いため往診にきてもらった医師から「てんしきはありますか」と尋ねられた和尚。「てんしき」とは「おなら」のことであり、「おならはでてますか?」と聞いたつもりの医師。しかし和尚は「てんしき」がなんのことかわからないので「ありません」とごまかす。
小坊主の珍念に、村に行って「てんしき」を借りてくるように言いつけるが、村人もわからずとんちんかんな答えしか返ってこない。しかたないので、和尚は珍念を医者本人のところに聞きに行かせる。
医者に「てんしき」とは「おなら」のことだと教えられた珍念。ここでいたずら心に火がついた。寺に帰って和尚に「てんしき」とは「さかずき」のことです、とウソをつく。
なるほど「呑む酒の器」なので「呑酒器(てんしゅき→てんしき)」なのだなと納得の和尚。実は自慢にしている「さかずき」があるのだ。
やがて医師が往診にやってきた。和尚は待ってましたとばかりに鼻高々に「さかずき」を披露する。。。
落語好きの視点
大人の知ったかぶりをわらう噺。利口な子供が大人を手玉に取る、落語の必笑パターン!
粗忽長屋(そこつながや)
.滑稽噺. .粗忽者.
◎時間がない方へ超要約こんな話
友人の熊さんの死体を町で見た八つぁん。これは大変だ!本人に伝えなくてはと、長屋にすむはずの熊さんに伝えに行く。八つぁんにそう伝えられた熊さんはそんなありえない話を信じ込み、一緒に自分の死体をみにいく。そんなバカは二人のお噺。
簡単なあらすじ
八つぁんが浅草寺・仁王門前を通ると、なにやら人だかり。群衆の股の間をくぐり抜け、人だかりの中心に到達した八つぁん。そこには行き倒れが寝かされていた。身元がわかればいいがと世話役にうながされて、行き倒れをじっくり覗き込む。
「熊じゃねえか!今朝会ったばかりなのに、いつのまにこんなことに!」と驚く八つぁんに対し「昨夜からの行き倒れだから、そりゃ人違いだ」と世話役。
一度思い込んだらどうにも止まらない八つぁんは、長屋に帰り、兄弟分の熊さんに「お前、浅草で昨夜から死んでるぞ。昨夜なにしてた?」と問い詰める。
熊さん、酒を飲みすぎて記憶が怪しいが、昨夜その辺にいたのは間違いないという。
粗忽者とはそそっかしいあわて者。粗忽者の八つぁんは思い込みが激しい。そして粗忽者の熊さんはあ自分で考えず人の意見を真に受けてしまう。
急いで浅草寺に戻った二人。世話役の説得にもかかわらず、熊さんは死体を自分の死体だと認めてします。 八つぁんと熊さんは、熊さんの死体を持って帰ろうと抱きかかえて長屋にむかう。そしてその道中、思わずつぶやく。
「抱かれている死体は確かにおれだが、抱いているおれはいったい誰だろう」
落語好きの視点
あまりにシュールなオチの瞬間、それまでシンプルでばかばかしい展開だったのが、深い余韻を残す噺に一気に変身。これぞ落語マジック。
火焔太鼓(かえんだいこ)
.滑稽噺. .古道具屋. .大名屋敷.
◎時間がない方へ超要約こんな話
商売がへたな男がたまたま買った太鼓が高く売れてしまった。ラッキー!!
簡単なあらすじ
古道具屋の甚兵衛が市で古くて汚い太鼓を仕入れて帰ってきた。「こんなもの売れやしないよ。お前さんはホントに商売が下手だねえ」と女房に言われる旦那。女房からの評判は以前からとても悪い。
小僧の定吉に店先で汚い太鼓にはたきをかけさせたところ、太鼓なので音が鳴ってしまう。定吉は調子に乗って太鼓を叩いて遊ぶ。やがてそこへ、一人の侍が駆け込んできた。
籠に乗った殿様が通った折に聞こえてきた太鼓の音が気に入ったので、大名の屋敷へその太鼓を持ってきてほしいと言う。
「殿様にこんな汚い太鼓を持ってくるとはって、お前さん、お屋敷の松の木に縛りあげられちまうよ」と女房にさんざん脅され、ビビリまくって屋敷にやってきた甚兵衛。
やがて家来が殿様に太鼓を見せて甚兵衛の控えている部屋へ戻ってきた。「お上がお買い上げになる。いくらじゃ、申してみよ」。
甚兵衛はすんなり売れてしまったのにびっくりし、いくらにすればよいのかなど皆目検討がつかない。家来によると、太鼓は火焔太鼓という名器だという。結局「三百両」という甚兵衛が思いもよらない高値で売れてしまった。
家に帰って、五十両ずつ懐から出して女房に見せる甚兵衛。
女房〉お前さんはホントに商売が上手だねえ
甚兵衛〉どうだ、これで三百両だ!
女房〉品物はこれからは音のするものに限るねえ
甚兵衛〉半鐘(音のなるかね)を仕入れて、叩き売って
女房〉半鐘はいけないよ。おじゃんになるから
※かねを叩くと「じゃ~ん」と鳴るにかけたダジャレのオチ
落語好きの視点
女房の尻に敷かれっぱなしの古道具屋の亭主が、宝くじ級の大当たり。見たことも聞いたこともない大金を前に、亭主も女房も失神寸前の大騒ぎ。
明烏(あけがらす)
.滑稽噺. .吉原.
◎時間がない方へ超要約こんな話
堅物の童貞男。悪夢のような一夜が明けたら、もうすっかり女のとりこ。
簡単なあらすじ
日向屋時次郎は大店の跡取り。19歳になるが、真面目で本ばかり読んでいる堅物。遊びも覚えておかないと、将来お客様とのおつきあいで困ったことになると案じた父・半兵衛は、町内の遊び人、源兵衛と太助に費用はすべてもつから、時次郎を吉原に連れていってくれと依頼する。
時次郎は吉原などには行きたくない。
「お稲荷さんのお籠り(泊りがけでお稲荷さんにお祈りをする)」ということにして、三人連れ立って吉原へ。大門をくぐり店の中に入って、ここは吉原の遊女屋だと時次郎もさすがに気づいた。
芸者連が揃った宴会でも、時次郎は部屋の隅で「帰りたい」と泣いてばかり。源兵衛と太助は「三人揃ってじゃないと、大門で捕まる」からとウソをついて、むりやり引き止める。
いよいよプレイ開始。時次郎の相手は美しい18歳の花魁(最高位の遊女)、浦里。。。
翌朝、女にフラれた源兵衛と太助が時次郎の部屋に行ってみると、時次郎は浦里とともにまだ布団のなかにいた。
源兵衛〉
「若旦那、帰りますよ。早く起きてください」
浦里〉
「若旦那、起きなんし」
時次郎〉
「花魁、口では『起きてくんなまし』って言うんだけど、足でわたしのカラダをグッとおさえて、起きられない、うふっ」と時次郎。もうすっかり花魁にメロメロになっていた。「先に帰れるものなら帰ってごらんなさい。大門で止められるから」。
※「吉原」…江戸幕府によって公認された遊廓。エッチをする場所ですね。遊女三千人といわれ、江戸市中で最大の規模を誇った歓楽街。
落語好きの視点
前半のいかにも大店の跡取りらしい純真無垢な時次郎の振る舞いがおかしい。一夜明けると、急に色っぽくなる豹変ぶり。それにしても時次郎、あんたいいお父さん持ったよ。
鰍沢(かじかざわ)
.人情噺. .サスペンス.
◎時間がない方へ超要約こんな話
吹雪で迷って泊めてもらった家で、お金目当てに殺されそうになるこわ〜い話。
簡単なあらすじ
身延山の久遠寺へのお参りために鰍沢に向かったものの、吹雪が舞う雪道で迷ってしまった男。凍え死するかもと怯えていたところに、あばら家が見つかって一夜の宿を頼んだ。応対した女は食事や布団は出せないが、雪をしのぐだけなら良いという。
あばら家に入ってみるとそこは猟師の家だった。女はこの家にふさわしくない美しい若い女性。男はこの女は吉原の花魁だったはずと気付き、それを口にする。
女は明かす。自分の本名はお熊。確かに吉原で花魁をしていたが、男と心中を図り、捕まったものの逃げ出して、いまはその相手の男、元薬屋の使用人であった夫と薬をつくって暮らしているという。
旅人は財布から金を出して、感謝の意味をこめてお熊に渡した。財布の中にはまだまだ金が入っているのが見えたお熊、残りの金を奪おうと、毒入りの卵酒をつくり旅人に飲ませて殺そうと企む。旅人は卵酒を飲み、隣の部屋で寝てしまう。
お熊がまきを取りに出ている間に夫が戻った。卵酒が残っていたのを見つけ、飲むと夫は急に苦しみ出す。お熊が戻ったが、夫はすでに死にかけている。「旅人を殺し、金を奪うつもりだった」と夫に話すのが旅人にも聞こえた。
男は逃げ出す。男は雪に足をとられながら必死に走る。気づいたお熊が猟銃を手に鬼のような形相で追ってきた。崖の上に追い詰められたところで雪崩が起き、旅人は下の川へまっさかさま。
そこに留めてあったいかだにぶつかり、いかだはバラバラになったが、旅人は一本の材木にかろうじてしがみつくことができた。急流に流されながら、男は必死にお題目をとなえる。「南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経」。
お熊が猟銃の狙いをつける。引き金を引く。弾は旅人の髷をかすめ、岩に当たって「カチーン」と響いた。男は「お祖師様のご利益。お題目(材木)で助かった」。
落語好きの視点
雪の上を転がるように必死に逃げる男と、猟銃を抱えて鬼の形相で追う女。背筋も凍るスリル&サスペンスに満ちた、会話ではなく主に情景描写によって描かれる、これも落語です。
井戸の茶碗
.人情噺. .正直者.
◎時間がない方へ超要約こんな話
正直を貫き通し、みんなが金持ちになった。
簡単なあらすじ
正直者で通っているくず屋(古紙回収業)の清兵衛。ある日、器量が良くて品もある娘に呼び止められた。長屋に住む浪人、千代田卜斎の娘である。清兵衛は卜斎に懇願され、普段は扱わない仏像を二百文で買い取った。
清兵衛は、もし高く売れたら儲けの半分は卜斎に返すと自ら約束してしまうほどの正直ものである。
仏像は早速三百文で売れた。買ったのは細川家に仕える若い侍、高木作左衛門。作左衛門がお湯で洗ったところ、仏像の底の台紙が剥がれて、なかから五十両という大金が出てきた。
作左衛門にすれば仏像を買いはしたが、五十両を貰ういわれはない。清兵衛に、元の持ち主に返せと言う。
清兵衛は卜斎の長屋へ行き、儲けの半分、百五十文を渡し、五十両を返そうとする。卜斎は仏像からなにが出ようと、すでに売ったものだからと五十両は断固受け取らない。
困りぬいた清兵衛、卜斎の住む長屋の大家に相談した。大家は卜斎と作左衛門に二十両ずつ、清兵衛に十両という折衷案を提案。作左衛門は納得したが、卜斎はうなずかない。
それならば、なんでもよいから作左衛門に売り、それを二十両ということにすればよいだろうと大家。結果、普段から使っている卜斎の汚い茶碗が作左衛門へ渡った。
この美談が細川の殿様の耳に入った。作左衛門に、その茶碗を持参せよ、と屋敷に持ってこさせた。その茶碗はなんと「井戸の茶碗」という名器であり、殿様は三百両で作左衛門から買ってしまう。
作左衛門はまた清兵衛を呼びつけ、半分の百五十両を卜斎に渡せと言う。卜斎は案の定これを拒否。清兵衛は、またなにかを百五十両としてお渡しすれば、と卜斎に説くが、家のなかに、もはやめぼしいものはなにもない。
やがて卜斎が口にした。「高木作左衛門殿は独身であろう。娘を嫁に貰ってはくれまいか。さすれば百五十両は支度金となる」。作左衛門も「千代田殿の娘ならば、間違いはない」とすんなり快諾。
「こちらに連れてきて、磨いてみてご覧なさい。いい女になりますよ」と言う清兵衛に作左衛門「いや、磨くのはよそう。また小判が出るといけない」。
落語好きの視点
なにも仕込んでいないのに事態は好転するばかり。清々しいほどに正直な人しか出てこないハッピーな人情噺。
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