師匠から爆笑暑中見舞い!
2021年8月12日(木)、「上野鈴本演芸場『鈴本夏まつり』 昼の部」へ。
上野鈴本、夏の特別興行。
上野鈴本演芸場の8月の中席は、毎年恒例の鈴本夏まつり。昼の部は三遊亭圓歌師匠、夜の部は柳家権太楼師匠、柳家さん喬師匠が交代でトリを務めます。
今年に関してはさん喬師匠がご病気療養中のため、喬太郎師匠、左龍師匠が代演を務めます。
で、昼の部へ。12時少し前に鈴本到着。12時開場なので、いつもなら前の歩道に人が並んでいるはずがまったくいない。「お客様が大勢並ばれていたので早めに開場しました」と切符売場のお姉さん。なるほど、コロナ対策なのですね。
トリに向かって徐々に盛り上げていき、ラストのトリで会場をその日イチバン沸かせて終わる、というのが寄席の公演。
さすがの三席をピックアップ!
今日の公演で印象に残った落語をピックアップしました!
春風亭一之輔『天狗裁き』のあらすじと感想
八五郎がなにやら寝言を言いながら居眠りしているので、風邪をひくからと起こした女房が「どんな夢見た?」と八五郎にたずねる。「夢なんか見てねえよ」と八五郎。「教えろ!」と迫る女房に「だから見てねえよ」と八五郎。やがて大げんか。
長屋のとなりの男が飛び込んできて、女房をなだめてとなりの自分の家へ行かせ、「ところでお前、どんな夢見た?」と八五郎にたずねる。「夢なんか見てねえよ」と八五郎。この二人もけんかになった。
大家が仲裁に入る。「人の夢を気にする暇があったら働け」と男を追い出し「ところでお前、どんな夢見た?」と八五郎にたずねる。「だから見てねえよ」と八五郎。大家は逆上。
「大家に言えないような夢を見るようなやつは長屋に置けない」と店立て(たなだて、賃貸人を追い出すこと)を命じるために、奉行所へ訴えた。
「八五郎に罪はない」と大岡越前守は無罪を言い渡す。やがて人払いをして八五郎と二人だけになったところで大岡越前守までが「どんな夢見た?」とたずねる。「だから見てませんよ」という八五郎に「教えてくれ」と奉行は泣いて懇願する始末。
「見てない」と言い張る八五郎は、奉行所の松の木に吊るされた。
やがて舞い上がる風に、八五郎は高尾山へ飛ばされた。八五郎の前に大天狗が現れた。大天狗もやはり「どんな夢見た?」とたずねる。「見てない」と言う八五郎の首に、大天狗の長い爪が食い込む。
うなされる八五郎を、女房がゆすって起こす。
女房「お前さん、どんな夢みたの?」
女房、となりの男、大家、当人の八五郎が揃って強気のキャラ。駄々をこねて泣き出す大岡越前守の子供キャラを含め、笑いどころの多い一之輔さんの『天狗裁き』。
この噺、一之輔さんらしい攻めの落語にピッタリ!.
桃月庵白酒『だくだく』のあらすじ&感想
おなじみ『だくだく』。
泥棒に入った長屋には本物の家財道具が一つもなく、ただたんに絵で書いたタンスや着物、金庫などがあるばかり。あきれた泥棒、住人が家財道具があるつもりで住んでるなら、こっちも盗んだつもりだと盗りまくる。
それをみた住人もそっちがそのつもりならと壁にかかった槍で刺したつもり。
結局、泥棒と住人の男は、盗った、盗られたのジェスチャーで盛り上がる滑稽噺。
▶あらすじの詳細はこちらで解説!
『だくだく』はとても面白い噺ですが、わたし、長屋の男が泥棒とやりとりするシーンが短くて、もったいないなあと思ってました。男が槍を取り出す前、白酒さんが面白いやりとりを加えてます。
泥棒〉おふくろが長患いをしております。今度ばかりはお見逃しください。と涙ながらに訴えたつもり。
男〉そんな深い訳があったのか。ともらい泣きしたつもり。と油断させ、吹き矢をフッ、フッ、フッと、吹いたつもり。
泥棒〉ふん、ふん、ふんと、避けたつもり。
泥棒の言い訳から入りますか! お見事です。
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