人気うなぎ登りの二ツ目女流落語家の競演
2021年9月15日(水)、横浜にぎわい座で開かれた「春風亭ぴっかり☆(現:蝶花楼桃花)・立川こはる二人会」へ。

春風亭ぴっかり☆(現:蝶花楼桃花)、立川こはるをホールでじっくり聴きたいなあと思っていたので、この二人会は絶好の機会。久しぶりの横浜にぎわい座へ。
さて、人気の二ツ目女流落語家の二人会。客層が気になりませんか? ざっくりですが、男性客が8割以上かと。その半数はアタマがウスい、ないしはシロい。そんな客層でしたよ。。
お二人、落語好きのおぢさんたちのハートをがっちりキャッチしてます💘
▼公演情報
◯出演者:春風亭ぴっかり☆、立川こはる
◯開催日:9月15日(水)
◯開演:17:00〜
◯料金:予約2,500円、当日3,000円
◯会場:横浜にぎわい座
▼プログラム内容
〈1〉春風亭ぴっかり☆『元禄女太陽伝』
〈2〉立川こはる『馬のす』
〈3〉春風亭ぴっかり☆『お見立て』
〈4〉立川こはる『五貫裁き』
本日は横浜にぎわい座「こはる・ぴっかり☆未来の二人」大勢様ご来場頂きありがとうございました。2年ぶりの芸能ホールでの二人会でありながら、急遽サービスステージを。さすがぴっかり☆さん!楽しいコラボをありがとうございました。 pic.twitter.com/g9AH1Mhui7
— 立川こはる (@koharunokai) September 15, 2021
ピッカピカの華がある! 春風亭ぴっかり☆(現:蝶花楼桃花)
来年春の真打昇進が決まっているぴっかり☆さん。
一人会、二人会も定期的に開催中の「寄席のプリンセス」
ちなみにぴっかり☆さんのブログにこの落語会の様子が詳しく書かれてました。
アメブロを投稿しました。
— 春風亭ぴっかり☆ (@s_pikkari) September 15, 2021
『2年ぶり☆』#アメブロ #春風亭ぴっかり☆#2年ぶり
https://t.co/8eCaSl0GlG
『元禄女太陽伝』のあらすじと感想
お熊という名の上州高崎の女。自分から女衒(女を遊女屋に斡旋する仲介業者)に頼んで吉原の遊女になり、名をこはると変えた。器量はいまひとつだが、しぐさが可愛いのと、胸が大きくて、母性本能が強い。
ある日、不破数右衛門、堀部安兵衛、大石主税の三人連れが吉原へ。若侍の主税を男にするためだった。吉原では武士が嫌われるため、主税は町人ということにして松吉と名乗った。松吉の相手はこはる。
松吉の言葉から町人ではなく侍だと知れたが、肝心の筆下ろし(初体験)はうまくいった。翌朝「またきてね」と言ったこはるに、松吉は「西のほうへ行かなくてはならないので、もうこれない」と答える。
何日か後、こはるを世話してくれた女衒がケンカで死んだので、こはるはその葬式に行った。こはるは売られたのではなく自ら吉原に飛び込んだ遊女なので、例外として吉原の外への外出を許されている。
両国橋にさしかかったところ、黒山の人だかり。赤穂浪士の討ち入り後の行列に出くわす。そのなかの一人は会ったばかり若侍だった。
こはるは「松つぁん」と声をかけた。松吉、大石主税は顔を赤らめる。大石主税は赤穂浪士のリーダー、大石内蔵助の息子。
「大石内蔵助の息子、主税を男にしたのは、吉原のこはる」だと話題になり、こはるは一躍人気者になった。
今日のもうひとりの女流落語家、立川「こはる」と落語に出てくる「こはる」との、同じところと違うところを十分に意識した楽しい一席ww
ぴっかり☆さんが出てきただけで舞台がパッと明るくなる。元気いっぱいなのと、なにより華があるというところが素晴らしい。
これはもう、一段突き抜けているのでは? という感がありあり。ノッてるなあ。
落語が終わって「最近習い始めた」という三味線と歌も披露。こはるさんも踊りで加わって「かっぽれ」「奴さん」。
こはるさんが着替えてる間にと、一人で日本周遊、まずは九州熊本「おてもやん」次いでいきなりラスト北海道「ソーラン節」。
『お見立て』のあらすじと感想
千葉の流山からやってきた杢兵衛大尽が吉原へ。目当ては喜瀬川花魁。ところが喜瀬川は田舎者の杢兵衛にはもう会いたくない。
「喜瀬川は病気になったと言え」「喜瀬川は実は死んだと言え」。そう店の若い衆、喜助にムリを申し付ける。喜助は杢兵衛と喜瀬川の間を行ったり来たり。。。
『お見立て』の詳しいあらすじは、こちらをご覧ください。
喜瀬川は利口でわがままな花魁。落語ファンならば誰もが喜瀬川にそんなイメージを持っていると思いますが、ぴっかり☆の喜瀬川は利口でわがままなのはそのままに、可愛い小悪魔として魅力をプンプン振りまいている。
つまり、ぴっかり☆自身の魅力を喜瀬川に重ね合わせているわけで、可愛い女流落語家としての武器をそのまま活かしているのですね。
こんな人、これまでいただろうかと考えてみましたが、どうも見当たらない。
これまで聴いたことのなかったキュートな『お見立て』!
9月3日 事務所スタジオにて 春風亭ぴっかり☆さん 撮っていると言うよりこちらが撮らされてしまう程のモデル級の反応の良さ。観る者を自然に惹きつける華がある。 pic.twitter.com/zA9HEMR8L5
— 橘蓮二 (@renji_koza) September 7, 2021
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もちろん「春風亭ぴっかり☆ & 立川こはる」の落語も聞けます。
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江戸の風を吹かせる! 立川こはる
女にしておくのは惜しい男前な落語家、こはるさん。
女流にして江戸落語のど真ん中爆進中。
『馬のす』のあらすじと感想
馬のすは単純な噺。釣り糸を作ろうと、馬のしっぽの毛を抜いた友人に「お前、大変なことをしてくれたな。これはまずいぞ」と匂わせ、友達を疑心暗鬼にさせる。
理由を聞きたければごちそうしろと要求し、どうしても聞きたい友人がたらふく食べさせ、いざその理由はと問いただすと「馬がいたがる」というものだったという噺。
▶詳しいあらすじはコチラ
テグスが切れている、その動作に落語としてのリアリティがあふれていて、いきなり落語の世界にスーッと放り込まれ、あとは一切のスキも緩みもない。
短い噺だけど、こはるさんが江戸落語の正統派であるということは、十分すぎるほどにビンビン伝わってきた。
『五貫裁き』のあらすじと感想
八百屋をやりたいと考えた長屋の八五郎。ただ金がない。そこに家主がいろんな人達に寄付をしてもらえばとアドバイス。八五郎は祖父が苦しい時に世話した徳力屋万右衛門に、寄付を願い出るがケチなので少額しかしてくれなかった。
八五郎は思わず怒って、徳力屋万右衛門に怪我を負わせてしまった。八五郎が悪いのになぜか家主が八五郎を思い裁判所に訴えたために悪い方向へ。
判決は八五郎が五貫を徳力屋に支払うことに。八五郎は一日一文を毎朝徳力屋に届ける。徳力屋は受取書を発行するためとにかく面倒な仕事が増えてしょうがない。
徳力屋はこれが何年も続いたらかなわんと逆に和解金を支払うから許してくれと願い出る。八五郎は念願の八百屋を開くことができ、金を出した徳力屋の評判も上がった。
▶詳しいあらすじはコチラ
人のために金を使うといいことがある。一文惜しみの百両損という噺。
※一文は現在の10~30円程度の価値。なので五貫文は5~15万円。百両は1,000万円。
十両渡すと言われたときの家主のキレっぷりが、ど迫力の言い立てでスゴい。その歯切れの良さこそ江戸落語の快感。
そもそも、こはるさんのドライな声からして男前なんだけど、口調にみなぎる威勢の良さはあまりに男前!
そこには「立川談志 ⇒ 談春 ⇒ こはる」という系譜もアタマに浮かばざるを得ない。
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まとめ

女の落語家であることを追求するぴっかり☆さんに、そこらへんの男は裸足で逃げ出してしまうあまりにも男前のこはるさん。二人の組み合わせは最高! この二人会の開催は二年ぶりで、いつか二人で大きなホールでやりたい、とぴっかり☆さんが話していましたが、それは近いうちに実現するのでは? と思ってしまう。
二人とも上手いし、楽しい。それに自分だけの個性と喋りの間をもう確立している! これからも見逃せません。
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