怒涛の新作落語7連発!
2021年10月22日(金)、「プーク人形劇場 秋の大新作落語まつり3日目」へ。
#新作落語
— プーク人形劇場@2021年は設立50周年! (@theatrepuk) October 24, 2021
お盆に出来ず10月に開催した落語寄席、ご来場ありがとうございました😊
お正月の会については、準備が整い次第HPやSNSで発表します。もうしばらくお待ちください。
今回の5日間の演目はこちら💁♀️
2000年より始まり、来年でプーク落語会は22年目に突入です! pic.twitter.com/HM5ynTfqBm
夏に予定されていたプーク人形劇場での新作落語まつりがコロナで延期になり、この10月に開催。柳家喬太郎師匠がトリの20日はあっという間のソールドアウト。三遊亭白鳥師匠の22日まで見逃すわけにはいかない。
怒涛の新作落語7連発×5日。もはや壮観な新作ショーケース!
▼公演情報
◯出演者:林家十八、三遊亭青森、三遊亭れん生、柳家小せん、古今亭今輔、林家きく麿、三遊亭白鳥
◯開催日:10月22日(金)
◯開演:18:00〜
◯料金:2,500円
◯会場:プーク人形劇場
▼プログラム内容
〈1〉林家十八『落語フラグ』
〈2〉三遊亭青森『不在連絡票』
〈3〉三遊亭れん生『かわら版』
〈4〉柳家小せん『月見穴』
〈5〉古今亭今輔『ハードボイルドのカリスマ』
〈6〉林家きく麿『半ソボン』
〈7〉三遊亭白鳥『豊志賀ちゃん』
三遊亭白鳥『豊志賀ちゃん』のあらすじと感想
根津七軒町に住む音曲の師匠、豊志賀姉さん。小唄・端唄で寄席の高座にも上がる。年増のいい女なので、言い寄る落語家も多いが、いつもピシリとはねつけている。
そんな豊志賀のところに、二ツ目の落語家、久蔵も通っている。久蔵は落語『野ざらし』に出てくる“サイサイ節”がうまく歌えず、その稽古でやってくる。
ある日、豊志賀がよろけて足を捻挫しまい、生活がなにかと不便になった。毎日やってくる久蔵にどこから来るのかと聞くと、八王子からというので、それならばと二階に住んでもらうことにした。
久蔵に惹かれる豊志賀。眠れない寒い夜、久蔵に下に降りてきてもらい、いっしょの布団に寝る。背中合わせで寝ていたところに、いきなり雷の大きな音が二人を脅かす。ヒシと抱き合う二人は、この夜結ばれた。
稽古で通ってくる弟子たちにも二人の仲がバレ、弟子もめっきり減ってしまう。その数少ないなかに、若い女の落語家、春風亭さくらがいた。
豊志賀のことが次第に疎ましくなってきた久蔵。ウソをついて外に出て、ばったり会ったさくらに酒につきあってもらう。
さくらは豊志賀に比べれば美しくはないが、若さという魅力があった。思わずさくらを抱きしめる久蔵。さくらが顔を上げると、そこには豊志賀の顔があった。そのさくらは、豊志賀の生霊が化けた姿であったのだ。
久蔵は逃げて浅草演芸ホールに逃げ込んだ。豊志賀の生霊が追いかけてくる。豊志賀ビームで久蔵を追い込む。
舞台にあった菰樽から酒がこぼれる。久蔵は“南妙法蓮華経”と悪霊退散を唱える。
舞台の下に埋められていた、そこがストリップ劇場であった頃のストリッパーたちのなきがらが、酒と念仏とで自分たちがとむなわれているものと思い込んで舞台上に現れ、野ざらしサンバを踊る。
一方、女芸人たちの生霊もいまや、こみち、小菊、にゃん子・金魚と増え、踊り狂う。
そこに浅草演芸ホールの松倉会長が現れた。生霊たちをみて「人間じゃないから、ギャラ要らないんだな」と寄席出演、それもトリでの出演を依頼した。
二組ともに否などあろうはずもなく、かくしてゴーストダンサーズの踊りは満員の観客の喝采を浴びることとなった。
「珍景重ねが真打」
女芸人の愛と執念を描く、白鳥師匠の世界が全開の名作。
『真景累ケ淵 豊志賀の死』をベースに、コツが酒と念仏とで踊るところは『野ざらし』、豊志賀と久蔵が結ばれるところは『宮戸川』、という落語好きを喜ばせる設定であることは、ファンにはもうおなじみ。
さらに、浅草演芸ホールが元はストリップ劇場「フランス座」であり、戦後身寄りのないストリッパーたちの骨が舞台の下に埋められているというのが虚実ないまぜの設定は、もはや魅惑の世界。
白鳥師匠の新作は爆笑の連続でありつつ、前半に張り巡らされた伏線が終盤一気に回収されるので、爽快感も兼ね備え、いつもいい気分を味わえる。
「う〜、サンバ!」とシャウトして大満足!
林家きく麿『半ソボン』のあらすじと感想
人事担当が半ソデ半ズボン姿の二十二歳の男を新入社員として採用を決めたと聞き、そんな採用は認められないと怒る社長。採用を取りやめにすると不当解雇になるので、とりあえず明日、社長は直にその新入社員に会うことにした。
その日の帰り、運転手・みっちゃんの運転での車中。みっちゃんは社長の幼なじみであり、社長が小学生時代、ずっと半ソデ半ズボンで過ごしたことを知っている。
当時、新聞にも載り、話題にもなった。その頃の社長のあだ名は“トリハダ大将”だった。みっちゃんは新入社員を採用するように社長を諭すのだか。。
子供の頃の半ソデ半ズボンの姿にはノスタルジーを感じないわけにはいかない。柳家喬太郎師匠にも『路地裏の伝説』という傑作がありますしね。
話の寄り道も多い『半ソボン』はギャグたっぷり! ちなみに半ソデ半ズボンをまとめて『半ソボン』ですww
●Profile
芸名/林家きく麿(はやしや きくまろ)
本名/高田大輔
生年月日/1972年7月16日
出身地/福岡県
Twitter
●芸歴
1996年11月/林家木久蔵に入門。前座名「十八」
2000年5月/二ツ目昇進「きく麿」と改名
2010年9月/真打昇進
古今亭今輔『ハードボイルドのカリスマ』のあらすじと感想
ハードボイルドのカリスマ、作家・北山謙三郎。その故郷の佐賀を歩きながら、若かりし頃の自分を語る、という雑誌の取材中。
葉巻をくわえ、斜に構えたポーズをキメる北山は「いまにも泣き出しそうな鈍色の空…」「おれの唯一の友達は風…」と孤高の青春時代をいかにもハードボイルド然として振り返る。
血気盛んな若者同士のケンカで、川島という男をコルトで撃って殺してしまったこと。なおみという女にプロポーズしたが、その女は火事で死んでしまったこと。
そんなことを語りながら歩いていると、なんと川島となおみにばったり出会ってしまう。北山はドギマギ。実は北山、自分が言うような男などではなく、気の弱いいじめられっ子だった。。
小さな舞台劇でも観ているかのような見事な展開。当初ハードボイルドにキメて、やがてグズグズになる北山のキャラもとにかく面白い。
マクラはもちろん北方謙三。“ホットドックプレス”に連載していた読者の悩みに答える企画で、単行本にもなった『試みの地平線』。
「うじうじ悩むな、小僧ども。ソープランドへ行け」が決まり文句ww
柳家小せん『月見穴』のあらすじと感想
秋、中秋の名月=十五夜。その次の日、十六夜の月は出が遅い。なかなか出てこない。
孫の顔を見に隣の村に行き、帰りが遅くなったので、近道しようと山に入り、そこで穴に落ちてしまったおじいさん。手がかり足がかりもなにもなく、出るに出られない。
穴からは大きな月が見える。お~い、と助けを呼ぶと、それに答える男の声がする。穴はその男が掘ったものだった。きつねの夫婦を捕まえようと穴を二つ掘ったのだが、そのもう一つのなかにその男はいた。。
怖い噺というにはあまりにもユーモラスで、不思議な味わいを残す。情景が目の前に浮かぶ小せんさんの高座は、異色の日本昔話を聴いているかのようでした。
●Profile
芸名/柳家小せん(やなぎや こせん)
本名/河野重信
生年月日/1974年6月28日
出身地/神奈川県横浜市
Twitter
●芸歴・受賞歴
1997年2月/鈴々舎馬桜に入門
1997年4月/前座となる。前座名「わか馬」
2000年6月/二ツ目昇進
2006年1月/鈴々舎馬風門下に移門
2010年9月/真打昇進「五代目・柳家小せん」襲名
2002年/北とぴあ若手落語家競演会大賞
2010年/第一回落語協会大喜利王選手権優勝
三遊亭れん生『かわら版』のあらすじと感想
落語好きな三十歳過ぎの男。夜中、ふとんのなかに入って「東京かわら版」とツイッターを見ながら、どの落語会に行こうかなと考えるのが楽しみ。
男は自分でも芸人になろうと考え、落語家は食えないのでヤメて、色ものになろうと決めた、と母親に話す。
母親は心配なので「おかあさんと漫才やろう」と答える。
母親は若い頃、女子プロレスの試験に落ちて、地下プロレスで活躍し、“祐天寺のグレイシー”と言われていたというエピソードを話す。面白い台本ができそうだと息子もやる気になる。。
落語ファンにおなじみ「東京かわら版」がモチーフ。マクラは最近高座に上がっていない圓丈師匠のこと。
圓丈師匠に新作落語圓丈チャンピオンベルトをつくろうと言われ、調べてみたら25万円かかることがわかったら、その話が一切出なくなったそうですww
●Profile
芸名/三遊亭れん生(さんゆうてい れんしょう)
本名/門馬浩一 生年月日/1972年5月17日
出身地/東京都目黒区
Twitter
●芸歴
2005年3月/立正大学文学部卒業
2006年11月/前座となる。前座名「玉々丈」
2009年11月/二ツ目昇進
2014年5月/めぐろと改名
2021年3月/真打昇進「三遊亭れん生」と改名
三遊亭青森『不在連絡票』のあらすじと感想
独り者の男が家に帰ると、不在連絡票があったので電話する。「ナビダイヤルでおつなぎします。25秒ごとに10円でご利用いただけます」「払えますか?」と自動音声なのに、なぜか問いかけてくる。
この自動音声は男に裏切られ続けているらしく、やがて自動音声の恋愛話になり「信じてもいいという人は1を…」などと反応を促すことも忘れない。
「社長と二人でバーに行って」「その夜、二人はひとつになった」と自動音声の恋愛話が続く。
自動音声なのになぜか話しかけてくるという秀逸な設定。
マクラでは『イカゲーム』の面白さを熱弁。それに触発された新作落語を演ろうと思ったものの、『イカゲーム』のネタバレになっていまうとマズいので、と『不在連絡票』へ。キャラ強いわ~
●Profile
芸名/三遊亭青森(さんゆうてい あおもり)
本名/高橋竜太 生年月日/1974年6月28日
出身地/青森県
Twitter
●芸歴
2014年7月/三遊亭白鳥に入門
2015年5月21日/前座となる。前座名「あおもり」
2019年2月11日/二ツ目昇進「青森」と改名
林家十八『落語フラグ』のあらすじと感想
落研に入っている大学生。落語の設定に近い状況になると、落語で反応してしまう。友達に履歴書を書いてもらって「生年月日は?」と問われ「生年月日」と大声で答える。つまり『代書屋』で反応。
こんな具合に『子ほめ』『芝浜』『天狗裁き』『時そば』『ぐつぐつ』『スナックヒヤシンス』と続く。
友達が財布を落とし、五万円失くして困っている。この落研の大学生は、部費としてたまたま持っていた五万円を差し出す、というラストは『文七元結』。
聴き手は最初の『代書屋』で、その状況に落語で反応してしまうということがどういうことかわかるので、次からは状況が変わるたびにどんな反応になるかが予想される。
なので反応の前にプッとふいてしまって、予想どおりの反応でやっぱり笑ってしまうという、これも秀逸な構造。この日が初の楽屋仕事だったという十八さんは、きく麿師匠のお弟子さん。
まとめ
新作7連発! おなかいっぱいですっww
トリ、白鳥師匠の『豊志賀ちゃん』では、前半随所に挟まれる豊志賀に言い寄る落語家の真似も、ちっとも似てないのがかえって可笑しい。サービス精神がダイレクトに伝わってくるこういう楽しさは、ライブならでは!
また次回、正月に!
●プーク人形劇場HP:URL
・住所:渋谷区代々木2-12-3
・最寄駅:JR新宿駅南口より徒歩7分
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