落語界は師弟制度。厳しい師匠もいれば優しい師匠もいます。
今回は厳しい師匠のエピソード集。パワハラ撲滅時代には考えれないエピソードの数々。
チャップリンのいった「人生は近くで見ると悲劇だが、遠くから見ると喜劇である」って名言もある通り、あまりに理不尽ですが遠くできいてるぶんには面白い!
古今亭圓菊
人気落語シリーズ圓菊 GINZA LIVE 4
二代目古今亭圓菊さんは三遊亭圓歌や三遊亭金馬と同時代に活躍した落語家。
弟子の教育には厳しいことでしられ、そのためか優秀な落語家を排出しています。その代表が古今亭菊之丞と古今亭文菊。
ということでそのエピソード集
古今亭文菊さんの語る圓菊エピソード!
弟子入り志願した時は師匠が74歳だったので、年齢的に真打まで面倒がみきれないということで断られたが、そこをなんとか頼み込み弟子にしてもらった文菊さん。
師匠は苦しまなきゃ噺家になれないという考え方。だから辛かった。。。
- とにかく怒鳴る。朝あった時から人格否定で始まる。
- 自由が丘生まれ学習院大学出身の文菊さん。その佇まいからも気品がありますが師匠はそれが気に入らない。お高く止まってんじゃないと小言が始まる。
- 師匠の家で前座修業中、つまんなそうに掃除するな、芸人らくししろなど、なす事全て注意される。文菊さんなにも言わずとにかく謝る。
- たまたま赤い服を来ていったら「虫けらの分際でおしゃれして、女性を引っかけようとしてんじゃねえ」と怒られる。
- ある日、怒る箇所がなかなか見つけれなかった圓菊さん。全身をみて靴に赤い線があることを発見!ほれみたことかと「この赤い線でまた女を釣ろうとしてるな」と怒られる。文菊さん心の中で、こんなので女性が釣れるわけないじゃないと嘆き節(笑)
- 肩掛けの大きなカバンをもってたら、でっかいかばんをもって、売れてるつもりかと怒られる。
- 美容師さんが眉毛を整えてくれたが、師匠はそれが気に入らず、今度眉毛をいじったら破門だと言い渡す。もちろん文菊さん次から手入れせず師匠の元へ。師匠はじーっと眉毛を見つめて「やったな。昨日あった眉間のところの1本が抜けてる」と言いがかりをつける。
古今亭菊之丞さんの語る圓菊エピソード!
小言ばっかり!
圓菊さんは生活面も落語でもとにかく小言が多く、常に怒るのでビクビクしていた!
それが原因で菊之丞さん、半分ノイローゼ気味にさえなったという。
- 落語家ではなく人間を育ててるんだと、箸の上げ下ろしからお茶の煎れ方までとにかく怒られまくる。
- 言うことや正しいことが昨日と今日でころっと変わり、言ってる本人さえ何が正しいのかわからなくなる。
- 自分の師匠である古今亭志ん生もとにかく厳しかったので、菊之丞にそれと同じようにしてやると脅しをかけられる。
- 実はおかみさんも厳しい人だった。
意外と落語はよく稽古してくれた!
そんな怖い圓菊さんですが、いいところは落語をよく稽古してくれた点
柳家小三治さんのように弟子に落語を教えない、見て&自分で覚えろ派の人も実は沢山いる落語界において、圓菊さんはみっちり教えてくれたそうです。
自分の師匠の志ん生さんは弟子の古今亭志ん朝と金原亭馬生には直接稽古をつけなかったこともあり、その分圓菊さんにはとことん稽古してくれたそうです。それが影響しているのかむしろ稽古したがり。
ま、それがまたきついのですが。。。
- 最初に志ん生直伝の4席を人物の心情描写や、その場所の解説などを含め丁寧に教えてもらった。
- 稽古中は他愛も無い言葉一つ一つに指導がはいり、怒られる。
柳家小三治
惜しくも2021年10月7日に亡くなられた人間国宝「柳家小三治」さん。すでに都立青山高校3年の時にTBSラジオの「しろうと寄席」で15週勝ち抜きするなど、落語にどっぷりと浸かり評価も受けていた。
そして69年には17人抜きで真打ちに昇進し、十代目柳家小三治を襲名しました。
その佇まいから自分の芸への厳しさもヒシヒシと伝わってるくる小三治さんですが、やっぱり弟子にも厳しい。
小三治さんに心酔し入門した弟子でさえ半分はクビになるという超離職率の高いブラック企業。。。
その中で出世頭といっていいのでしょうか、「柳家三三」が有名です。ということで三三さんの語る師匠の厳しさをまとめてみました。
柳家三三が語る小三治さんの厳しさ
小三治さんは「答え」を教えない!
小三治さんは弟子に稽古をつけず、なにが正しくて何が間違ってるか自分で考えろというタイプ。
じゃあ自分でやってみて、それを認めてくれるのかというと、もちろん認めません。。。
- まず第一に稽古をつけてくれない。見て覚えろというスタイルなのでもっぱら稽古は兄弟子や他の師匠から教えてもらった。
- 二ツ目の時に少し教えてもらったが、途中で呆れられ切り上げられた。
- 師匠は自分の高座をみてもなにも言ってくれないので、正解がわからず自分で正解を見つける作業に三三さん四苦八苦。
つねに「高い水準」を求めるプレッシャー!
小三治さんは真打昇進に関してそれまで暗黙の了解の年功序列を否定し、春風亭一之輔さんを21人抜きで昇進させた人物。だから実力が全てという考え方。
だから芸には超厳しい!
- 最近三三の評判がいいが、あの程度でいいのかとも思うと本人と観客の前で言い放つ。
- 努力は認めるが、落語の噺の中に三三という人間としての魅力が全然入ってないと一喝。
- 三三には人間としての深みが欠けていると人格否定。
そんな厳しい修行をくぐり抜け、今や落語家として人気・実力とも評価されている三三さん。そんな三三さんがいいます。
うちの師匠は弟子にも厳しかったし、周りにも厳しかったかもしれないですけど、やっぱり自分に対していちばん厳しい人なんですよね。でも、僕は基本的に自分にいちばん甘いタイプなので、そこまで似てはいないと思いますよ(笑)
https://toyokeizai.net/articles/-/332972?page=3
だから怒られてもついていったのでしょうね。
●Profile
芸名:十代目柳家小三治(やなぎや こさんじ)
本名:郡山剛藏
生年月日:1939年12月17日
没年月日:2021年10月7日(81歳没)
出身地:東京都新宿区
●芸歴・受賞歴
1959年3月/五代目柳家小さんに入門。前座名「小たけ」。
1963年4月/二ツ目昇進。「さん治」となる。
1969年9月/真打昇進し「十代目柳家小三治」を襲名。
1976年/放送演芸大賞受賞
2004年/芸術選奨文部科学大臣賞受賞
2005年4月/紫綬褒章受章
2010年6月/落語協会会長就任
2014年10月/人間国宝に認定
2021年10月7日/心不全のため死去。享年81歳。
立川志らく
現在高座だけならず、メディアでも活躍中。師匠の談志師匠も弟子を一気に破門したり、入門後に築地の魚河岸に一年間働かせに行かせたりと超厳しかった。
志らくさんで特に有名なエピソードは2019年5月におこった弟子の階級降格騒動。
落語好きには当たり前。落語家の階級は見習い→前座→二ツ目→真打となっていますが、その二ツ目の弟子7人を全員前座に降格させた騒動。
降格処分の理由
志らくさんが主宰する劇団「下町ダニーローズ」の舞台稽古に弟子達が一人も見に来なかった。師匠のやることに興味がないのかと怒った志らくさん。
それならと立川志獅丸・立川志ら鈴ら7人の弟子を一時的に前座修業に降格させる処分を行いました。
志らくさんいわく、「自分は芝居をやることによって落語家として成長できたので、それをわかってれば勉強しに来るはず」という理由らしいです。
その後、真打昇進直前に前座へと降格した立川志獅丸は、7月になんとか前座から戻され無事に真打昇進しました。
ちなみに、志らくさんの奥さんと弟子が不倫関係になったって事件もありましたが、その弟子はもちろん破門になりました。。。
弟子が師匠のやってることに興味がなく、さらに奥さんと不倫までする。自分の舞台を見に来なかったってことでの降格処分はパワハラだと炎上しましが、弟子に不倫までされるなど、悲しいかなその人望のなさは同情さえしてしまいます😥
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