「新作落語」は定義的には大正時代以降につくられた落語。しかし今の落語界の実態としてはまさに今活躍している落語家たちが作り出す新作が「新作落語」と呼ばれています。
新作落語はかつては邪道だと言われ、今でも落語ファンの中には新作落語に興味のない方も多いです。
しかし、古典落語もかつては落語家が必死で生み出した新作であったことを考えれば、やっぱり新作落語を作ることは将来の落語界の発展にとっても重要だと思います。
ということで新作落語に距離をおいている方にもオススメの新作落語をご紹介。
❶トップランナー『柳家喬太郎』
落語界でトップ3に入る人気落語家の柳家喬太郎!
落語初心者でもその面白さを理解しやすく、玄人達も納得させる喬太郎さん。古典落語も面白いが新作落語ももちろん絶品。新作落語の地位向上のために春風亭昇太、三遊亭白鳥、林家彦いち達とSWAを結成し、業界に旋風を巻き起こしました。ちなみに現在もSWAは活動中。
オススメ新作落語『午後の保健室』
人の先入観を利用して、見事に聴く側を騙しにかかる作品。
その鮮やかな裏切りは、聴いている者にとってまさに快感!
騙されてみたい人はあらすじを読まずに聞いてみることをオススメします。
『午後の保健室』のあらすじ
中学校の保健室。一人の男がやってきた。
「いやー、昨日寝てなくて。でもしばらくここで休ましてもらって、だいぶよくなりました。でもあれですね、先生と二人っきりで保健室にいるのもいいもんですな」という年寄りじみた男。
すると保健室の先生はいう。
「遠藤くん、普通にしゃべりなさい」
そう、じつはその男は年配の教師ではなく生徒だった。
(聞いてる方は喋り方のみなのでここで騙される)
そこにもう一人の男が勢いよく駆け込んできた。
「先生、やべえ、おれ腹いてえわ。マジきちい」
「ちょっと、大丈夫ですか。。── 校長先生」
今度は生徒ではなく、なんと校長先生だった。
(聞いてる方はここでまた騙される)
その後、女の生徒が保健室の先生を部活へ誘いにやってきた。
すると保健室の先生「まじ⁉そんな時間?うん、行こうー」と10代のようにキャピキャピした様子で部屋を出ていく。
保健室に残された生徒と校長。
生徒「あの先生も若いですな」
校長「わけえよな。還暦には見えねえ」
●Profile
芸名/柳家喬太郎(やなぎや きょうたろう)
生年月日/1963年11月30日
出身地/東京都
●芸歴・受賞歴
1989年10月/柳家さん喬に入門し前座名「さん坊」をもらう
1993年5月/二ツ目昇進「喬太郎」と改名
1998年/NHK新人演芸大賞落語部門大賞
2000年3月/真打昇進
2005年/国立演芸場花形演芸会大賞
2006年/芸術選奨文部科学大臣新人賞【大衆芸能部門】
2014年/落語協会理事に就任
2020年/落語協会常任理事に就任
❷爆笑王『三遊亭白鳥』
新作落語界の爆笑王!三遊亭白鳥
アドリブや内輪ネタなどを駆使し、とにかく爆笑をとるために見境なし。
渡世ブタが主役の『任侠流れの豚次伝』、二人の女流落語家が相対する『落語の仮面』といった長編の落語シリーズ作も多く、WEB・SNS・YouTubeなど各方面に積極的に進出中。
▶なんと!皇室の愛子&雅子さん登場!白鳥さんの演目「隅田川母娘」
オススメ新作落語『マキシム・ド・のん兵衛』
白鳥さんの得意な演目。内容は一言でいうと老夫婦が名店を参考に潰れかけた居酒屋を立て直そうとするが失敗してしまうお噺。
いわゆる真似てやってみるがうまくいかないという落語の王道“オウム返し”パターンです。
『マキシム・ド・のん兵衛』のあらすじ
老夫婦が営む居酒屋「のん兵衛」。最近めっきり客が来ず、閉店しようかと考えていた矢先、孫娘から電話がくる。
孫娘は店を心配して、参考になればとおばあちゃんを人気店「マキシム・ド・パリ」に連れて行く。
店内は絢爛豪華な花が飾られ、きらびやかな夜景も見える。席につくとソムリエがオススメの30年もののワインをワイングラスに注ぐ。
料理は南の海をイメージした豪華な料理。食事が終わる頃にはコック帽が高く伸びたオーナーシェフが来て挨拶をする。
影響を受けたおばあちゃんはマキシム・ド・パリを参考に店を立て直す。
まず近くの葬式から花輪を盗んできて店に飾る。窓の外には夜景ではなく野犬が見える。ワイングラスがないのでゆで卵を立てる器で代用。そこに棚から引っ張り出してきた30年もののみりんを注ぐ。料理はいかの塩辛とひじきの煮つけを混ぜた、東京湾の海のヘドロをイメージして作った料理。
そして食事が終わる頃、白い長靴をかぶったシェフの爺さんが挨拶にやってくる。
食事の終わった常連客に、おばあちゃんが一流のサービスはどうだったと尋ねる。
常連客は「一流?一流のサービスってのはかゆいところに手が届くようなサービスを言うんだ」と呆れる。
おばあちゃんはいう「かゆいところに手が届く。。あ、それで孫の手を貸してくれたんだ」
❸若手筆頭『瀧川鯉八』
新作オンリー&ぶっ飛んだネタで新作落語好きを喜ばす!
あまりのシュールさに好き嫌いが分かれる落語世界感。だけど好きになったらどっぷりハマる。現在進行系の新作落語のキーパーソンとなる若手の一人。誰とも似てないからこそ鯉八を聴かなければならない。
瀧川鯉八のオススメ新作落語『俺ほめ』
落語ファンをア然とさせた出世作かつシュールな作品。とにかく俺を褒めろと褒め言葉を要求し、さらに褒め言葉に工夫がないと文句をいう。そんなストーリーのない会話で進む作品。
深く考えれば現代人の承認欲求へのアンチテーゼとも考えられるし、ひょっとしたらなんも考えてなくて面白い設定を思いついただけともとれる。考察すれば哲学的にもなり、浅く考えればダダのコント。
ま、ただ聞いて笑うのが一番健康かな。
『俺ほめ』のあらすじ
「俺ほめたら、金平糖あげる。とにかく深く考えるな。それが楽しく生きるコツ」という小学校高学年ぐらいのまーちゃん。友達は金平糖ほしさにまーちゃんへの褒め言葉を口にする。
男の子〉まーちゃん、すごくおしゃれ。
まーちゃん〉そうかなぁ〜☺。かあちゃんが買ったの着てるだけだけどねぇ。
男の子〉まーちゃん、お肌きれい。
まーちゃん〉そう☺?なにもしてないんだけどねぇ。
はじめは単純な褒め言葉しか出てこない。やがて外見ばっかり褒められてることに嫌気がさし、もっと内面をほめろと要求。
男の子〉まーちゃん、センスいい。
まーちゃん〉いいね〜。お前はウソつけないなぁ。
男の子〉まーちゃん、パーフェクト。
まーちゃん〉ちょっと待て、それ言っちゃうとみんなほかに言えなくなる。
男の子〉まーちゃん、僕ね進路相談で将来まーちゃんのようになりたいって言ったら、先生が目標が高すぎるっていわれた。
まーちゃん〉お、ひねってきたね。最高!はい金平糖。
あまりに褒めを浴びたまーちゃん。
「ほめもこんだけ言われるとほんと凶器だよ」
「でも、愛してるぜ、お前たち!!」
と一言。
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