「寄席の爆笑王」の四代目三遊亭圓歌師匠
古典落語・新作落語どちらもお手の物。
新作落語では少年時代や母親の事、健康のことを題材に作り出す。熱い高座からは湯気が立ちそうな勢い。ダジャレや小咄、時事を絡めたギャグなどを駆使し、見る者聴く者を必ず笑わせてくれる圓歌師匠。
粘っこいくてちょっと甲高い声は癖になる。
ただ、残念ながらそんな高座では爆笑をかっさらう圓歌さんですが、弟子に対してのパワハラ証言&訴訟が報道されました。
2022年10月12日に報道で弟子の三遊亭天歌さんが、圓歌さんの過度なパワハラに対して訴訟を起こしたことを告発。
そんな三遊亭圓歌さんの経歴・演目・評価&パワハラの内容などをご紹介します。
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プロフィールと経歴
▼落語家になるまで
- 小学校1年生の頃に両親の離婚をきっかけに鹿児島から京都に移り住む。
- 監督・脚本・主演するチャップリンに憧れ、喜劇役者を目指し高校の文化祭で寸劇をやり受ける。
- 落語に興味を持ったのは、高校生の頃にテレビで見た桂枝雀の落語に衝撃を受けたこと。
- 真面目キャラだったので喜劇役者になりたいと言えず、第二希望の新作落語をやる落語家になろうと考える。
- 週刊平凡の記事に『四谷の自宅にて』と記載があり、新幹線にのり師匠宅を見つけて弟子入り志願。師匠から「親の承諾書はあるかい」と断られる。
- 母親同伴で再び師匠宅を訪ね入門許可。1978年3月に三代目三遊亭圓歌に弟子入り。前座名『三遊亭歌吾』
▼落語家になった後
- 1982年4月二つ目昇進。三遊亭きん歌となる。アパートの廊下に140人のお客を集め落語会を行う。
- 1985年NHK新人落語コンクール入賞。
- 1987年5月の真打昇進試験で新作「寿の春」をかけ合格。
- 1987年10月に入門9年目に18人抜きで抜擢真打昇進。初代・三遊亭歌之介襲名。
- 1991年花形演芸大賞金賞受賞。
- 2019年3月に四代目三遊亭圓歌を襲名。
▼エピソード
- 妻は同じ鹿児島県出身。娘と息子がいる。
- 1995年の阪神・淡路大震災の際には、落語のCDを制作、売上金を全額寄付した。
- 42歳の頃に知り合ったマクロビオティックの先生に影響され健康に人一倍こだわりを持つように。
- 師匠が80歳頃、一門の席で「四代目は“のすけ”(歌之介)に継がせる」と公言していた。
- 3代目圓歌がなくなり精神的なストレスや不安から気持ちがオチてハイボールばかりのんでいた。
- 『子別れ』と『湯屋番』は師匠に稽古をつけてもらった。
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●Profile
芸名:三遊亭圓歌(さんゆうていえんか)
本名:野間賢
生年月日:1959年4月8日
出身地:鹿児島県
HP
●芸歴・受賞歴
1978年3月/三代目三遊亭圓歌に入門。前座名「歌吾」
1982年4月/二ツ目に昇進。「きん歌」に改名
1987年10月/真打昇進。「歌之介」に改名
1991年/国立演芸場花形演芸大賞金賞受賞
2019年/3月21日四代目「三遊亭圓歌」を襲名
2020年/落語協会理事に就任
三遊亭圓歌の「壮絶パワハラ」騒動
▲左から二番目が三遊亭天歌さん
2022年10月12日フライデーに弟子の二ツ目の三遊亭天歌(40歳)さんが、師匠による自身へのパワハラを証言しました。
天歌さんの証言
https://friday.kodansha.co.jp/article/268892
「落語の世界ですから、師匠の小言は弟子にとって金言だと思っています。でも、暴言と暴力は、決して“小言”ではありません。そのことに気づくのに6年、外に向けて声を上げるのに、さらに4年以上もかかった。いま師匠にはっきりと言いたい。お願いですから僕を早く正式に“破門”してください」
三遊亭天歌さんの入門〜告発までの経緯を下記に記載しました。
圓歌師匠への入門までの経緯
- 出身地も師匠は鹿児島・天歌さんが宮崎ということで近く、地元で大人気でずっと憧れの落語家さんだった。高校の文化祭に圓歌が登場し爆笑をかっさらい落語家になりたいと思う。
- 大学卒業し弟子入り志願の手紙を書くが、親の承諾がいると言われ諦める。
- アルバイト等でお金をため27歳の時に再度弟子入り志願。入門を許される。
圓歌師匠への入門後について
- 入門後すぐ、理不尽な恫喝や暴力等が頻発する。
- 破門する→嫌なら坊主にしろ→坊主にして許される。
- すでに気持ちが離れてため、2022年2月20日に破門を言い渡され受け入れる。
- 破門されたと思っていたが、師匠から破門保留のメールがくる。
▼数々のパラハラの内容
- 他の弟子達も耐えきれず、一緒に他の師匠のとこに移籍することを決意する。それを、事前にしった師匠が、上野の寿司屋に来いと命令。いきなり殴られ警察沙汰になる。
- 圓歌が自身の勘違いで単独行動になったのに、一緒についてこない天歌に激怒し、沖縄までの交通費を自腹で払えと要求し、すでに手配したチケットを空港ロビーにばらまき、拾えと命令。
- 些細なミスで破門を告げ。坊主を要求。
- 圓歌の着物を家にいき奥さんに届けたが着物が放置されていた。それを見た圓歌さんがお前が悪いといい。かみさんに連絡するな。同じ市から引っ越せと要求。
圓歌さんに訴訟をおこす
- 2022年3月30日に師匠に対して謝罪と慰謝料を請求する訴訟を起こし、自身と師匠が所属する落語協会にもパワハラ黙認について内容証明郵便を送付。
- 2022年4月12日に圓歌さんの弁護士から和解したいとの返答がくる。
- 2022年5月10日に落語協会からパワハラ防止にすでに取り組んでるとの返答がある。
- 2022年6月10日に協会会長柳亭市馬・協会事務局長・協会弁護士・天歌&代理人弁護士の5人で話し合いが行われる。
- 一週間後、圓歌さんから廃業届を出してほしいとメールが来る。本来、破門届けを師匠が協会に出せば、協会に籍が残り他の師匠の所で再起できるが、廃業届はそれができない。そこを狙ってきた。
- 圓歌さんが天歌さんの両親に電話をかけて父親に色々話す。
●落語協会側・落語協会弁護士は天歌さんに理解を示す。
▼落語協会会長の柳亭市馬さんの発言
「(圓歌が)言うことを聞くかどうかは、わからないよ。ただ、まあ、弟子を持つ師匠たちは…まあ…ゲンコツみたいなこういうことしたらね、そりゃあもう、あり得ないことだよ。今の世の中ね」
「我々が圓歌さんに『行き過ぎでしょ。ちょっと』と、言うことはできる。できるんだけれども。うーん。それを再三再四聞かなければ、そりゃまた、えー…理事としての資格を、資格がないと考えるよ」
https://friday.kodansha.co.jp/article/268911?page=2
▼協会弁護士は、天歌の主張は「法的に見ても正しい」と発言。
昔はある程度、師弟関係という主従関係の中で黙認されていた部分があったかもしれませんが、現代では過度な場合は許されないこともありますので、このような事件は今後も明るみに出るかもしれません。。。
三遊亭天歌さんが協会弁護士との音声公開
2023年2月6日に落語協会の顧問弁護士と電話した会話を、三遊亭天歌さんがYouTubeで公開しました。
【拡散希望】
— 元・三遊亭天歌 (@yusaku3dayo) February 10, 2023
落語協会の顧問弁護士に電話し、衝撃の事実が判明。
組織で法的義務さえ履行されず、パワハラ対策が進まない理由。それは顧問弁護士が、協会にその担当責任者がいる事さえ知らないからです(2/6時点) 証拠を公開します。https://t.co/GLZfex0joQ
協会は社会的責任を果たしてください。
三遊亭圓歌の魅力とオススメ演目
私が行った落語会より圓歌さんの魅力が詰まった落語をご紹介します。
ちなみに行ったのは2021年9月23日(木・祝)に国立演芸場で開かれた「国立名人会」。2021年8月12日(木)の「上野鈴本演芸場『鈴本夏まつり』 昼の部」。
『竹の水仙』
話がいろんなところに飛んだマクラだったのですが、この8月に新型コロナで亡くなった先代圓歌師匠の弟弟子・三遊亭多歌介さんのことが「なんで(兄弟子の)自分より先に」と悔しくてたまらない様子でした。合掌。
『竹の水仙』のあらすじと感想
小田原宿の古びた小さな宿屋。男の一人客が泊まっていて、まったく出かけずに朝に一升、昼に一升、夜に一升と十日間酒ばかり飲んでいる。ツマミも刺し身で値が張るため、宿代もかさむ。〆て十一両と二分。そろそろ払ってもらいたい。
宿屋の女房に言われて、二階の部屋に上がり勘定を告げる主人に、男は「安い。だが金はない」と言う。ボロを着た男のなので、ろくでもない男かもと思っていたらそのとおりだった。
男は主人とともに裏山へ行き、竹を切って持って帰り、部屋にこもってなにやら彫り始めた。夜中になり、竹の水仙のつぼみができた。水を張った桶に差して店先に置き「売物」と書いた札を添えておけと言う。
朝、陽が差して竹の水仙に当たってしばらくしたところ、つぼみが開き、水仙の花が咲き、いい香りが漂った。そこに通りかかったのが細川越中守の一行。
殿様は竹の水仙を見て、大槻玄蕃を呼び、買い求めるよう命じる。大槻は宿屋に入り竹の水仙を買おうとする。宿屋の主人があわてて二階に上り、男に売値をたずねる。
「越中ならば二百両でよいだろう」と男は答える。
「二百両! 」と主人は驚くが、下に降りて、その金額を思い切って大槻に告げる。
「高すぎる! 」と大槻は主人のアタマをポカリ。そのまま宿を出て行った。
「その男は必ず戻ってくる 」と二階の男。
本陣に行って、殿様に買ってこなかったことを告げる大槻に対し「二百両とは安い。あれは名人のつくったものだ 」と殿様。「もう売れていれば切腹だ」と脅され、大槻は急いで宿屋へ走る。宿の主人も待ってはいるが、やってくるのは借金取りと乞食坊主ばかり。
ついに大槻がやってきた。
主人は「三百両! 」と値段を吊り上げたが、大槻は喜んで買って帰った。男は二百両を自分の懐に収め、百両を宿屋の主人に渡した。そして主人に請われて初めて自らを「左甚五郎」と名のる。
主人、思わず「シェー!」
「人を見かけで判断していて、恥ずかしい限りです」としおらしく口にした主人が急に大声を出した。
「おーい、かかあ、さっきのお坊さん探してこい」「あのお坊さま、弘法大師かもしれない」
圓歌さんの甚五郎、偉いとはいえ親切心も持ち合わせていて、言うことも気が利いている。
侍にビビる宿屋の亭主に「ご亭主、金儲けに苦労はつきものだ」と説き、案の定アタマをポカリとやられたら「りっぱなこぶは喜ぶといって縁起がいい」と言ってなぐさめてくれますww
圓歌さんならではのくすぐりもちりばめられていて、なかでも「シェー!」が極めつけ。もちろんアクション付き!
サゲは圓歌さんオリジナル(たぶんww)。
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『やかん』
物知りの隠居が来た質問に足してあれこれ理屈をつけて返答するという噺。
八五郎は物知りの隠居の家を訪れた。知恵者だと自負している自慢する隠居を困らせてやろうと、質問を繰り返す。もちろん全部知ってるわけではないがそれを何かとこじつけて答えまくる。
八〉ヒラメっていう魚はどうしてヒラメって言うんですか?
隠居〉平たいからヒラメだ。
八〉クジラなんでクジラって言うんですか?
隠居〉クジラは、必ず9時に起きるのでクジら。
八〉茶碗はなぜちゃんわんと?
隠居〉ちゃわんと置くから茶碗だ。
とにかく無理やりこじつけ答えまくる。悔しい八五郎。なんとか参ったと言わせようとさらに質問する。
八〉じゃぁこの土瓶は?
隠居〉泥で出来ているビンだから土瓶だ。
八〉じゃ、やかんは?
隠居〉そりゃあ、矢でできては・・ないな。えーと、そうだそうだ昔は水沸かしといってたな。
八〉え?湯沸かしじゃなくて?
隠居〉何も知らないのだなぁ。水を沸かして初めて湯になるだよ。
八〉それじゃなぜ水沸かしがやかんになったんでぇ?
隠居〉昔、川中島の合戦で闇討ちにあった武士が、武具が見つからず代わりに水わかしをかぶった。そこに敵の矢が当たってカーンという音がした。矢が当たってカーンで、やかんだ。
といった噺。
『やかん』はかなりオリジナルのアレンジが加えられる演目。
圓歌さんはまってましたとばかりにオリジナルのギャグを打ち込む。
▼そのなかから面白いやりとりをいくつかご紹介。
①小咄
A〉キリンの首はなぜ長い?
B〉ビールを長く味わうためだ
A〉味わうって味覚ですよ、舌でしょ
B〉ビールはのどごしだ!
②小咄
A〉ちなみに知ってるか、キリンは夜行性だ
B〉なぜ?
A〉アサヒを嫌う!
③小咄
B〉この間新宿のゲイバーに行ってきた。ぶくぶく太ってるのが多いな
A〉ゲイバーの連中、なに食ってるんですかね?
B〉おそらく、かまめしだろ
④小咄
A〉この地球で一番大きいものは?
B〉天に決まってる! 天は、一番、大きい、と書く。家に帰ったらかみさんに言え。誰が一番偉いか。夫だ。夫という字は天をはるかに突き抜けている。だがな、奥さんがいてこそ、夫になれる。夫という字を分解してみろ。二人、という字になる
⑤小咄
A〉地球で一番汚れているところは?
B〉北極だ。もう北がない。あそこは汚い!
⑥小咄
A〉地球温暖化の原因は?
B〉松岡修造に決まってるだろ! あいつがひとりで地球を暑くしている
⑦小咄
A〉韓国の夏は暑いですか?
B〉どんなに暑くても、韓国は38度を超えない!
こういう小咄が独特の間でどんどん繰り広げられる圓歌師匠の『やかん』。
何秒かおきで必ず笑いが起きる爆笑落語です。.
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三遊亭圓歌さんのスケジュール
三遊亭圓歌さんはスケジュールを簡単に確認できるのがチケットぴあ。もちろん寄席だとかぴあで販売してないものは載ってません。
ま、確実にチケットがあるなということはわかります。全部のスケジュールを知りたい方は三遊亭圓歌さんは充実したHPをもっているのでそこをみれば基本的にはわかります。
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