江戸っ子は五月の鯉の吹き流し、とは限らない!
「江戸っ子は五月の鯉の吹き流し、口先ばかりではらわたはなし」という決まり文句は「江戸っ子は言葉使いこそ荒っぽいものの、気持ちはさっぱりしていて、ものごとにはこだわらない」という意味で、落語に入るマクラ言葉としても実際によく使われます。
その、さっぱりしている、というところに異論はありませんが、江戸っ子だって、人の子ですww そこには強情なところとか好き嫌いがあって当たり前。
ここではそんな、口が悪くたって、さっぱりしているだけじゃねえぞ、という江戸ッ子気質がよくわかって、しかも楽しい名セリフを集めました。
落語は演者によってセリフや演出が変わるので、同じセリフがでてくるとは限りません。そこんところはまっぴらごめんね。
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- 『化け物使い』恥ずかしがることなんかないよ。なまじ、目鼻があるために苦労している女は何人もいるんだから
- 『強情灸』おれは平気だけど、石川五右衛門はさぞ熱かったろうな
- 『文七元結』要らねぇ。俺だって江戸っ子だ。やっちゃったものをいまさら返すと言われて、はいそうですかとは受け取れねえ。
- 『たがや』たがやはおれの親戚だ!
- 『道具屋』壊れた時計だって、一日に二度は合うよ。
- 『明烏』あのお稲荷さんは、なりが悪いとご利益が少ない。
- 『船徳』へぇ、ちょいと髭が伸びてたんで、あたってまいりました。
- 『酢豆腐』安くて、数があって、見た目が洒落てて、腹につかえなくって、衛生にいい、なんてオツな暑い夏の酒の肴がないか考えてくれってんだよ。
『化け物使い』恥ずかしがることなんかないよ。なまじ、目鼻があるために苦労している女は何人もいるんだから
確かに口が悪いよ、いまならセクハラ
●演目:『化け物使い』
●セリフ:隠居 → のっぺらぼうの女
まずは確かに口が悪いですww
落語のなかには相手をののしるような口の悪いセリフはいくらでもありますが、それでは当たり前過ぎてわざわざ紹介する必要はないでしょう。
『化け物使い』という噺。使用人に去られた人使いの荒い隠居は、化け物でもかまわず使う。一つ目小僧、大入道の次に出てきたのが、のっぺらぼうの女。3日目にして初めての女なので、隠居も悪い気はしない。というより、もはやご機嫌。で、こんなセリフが飛び出した。
恥ずかしがることなんかないよ。なまじ目鼻があるために苦労している女は何人もいるんだから。
世間一般の女の悪口を言いつつ、なんとも愛嬌にあふれた名セリフ。
これ、いま口にしたらセクハラ。麻生太郎でも辞めさせられるねww
『強情灸』おれは平気だけど、石川五右衛門はさぞ熱かったろうな
その口の減らない強情さは、あまりに負けず嫌いww
●演目:『強情灸』
●セリフ:熊さん → 源さん
源さんが熊さんの長屋へやってきて、背中に三十二のもぐさを据えるお灸をやってもらったが、ぐっとこらえたという自慢話をした。熊さん、負けず嫌いなので、自分の腕をまくってそこに灸を山と据えて火をつける。
はじめは涼しい顔をしていたが、次第に熱くなって顔も真っ赤になる。ついに我慢しきれず、灸を払って口に出したのがこのセリフ。
おれは平気だけど、石川五右衛門はさぞ熱かったろうな。
大泥棒・石川五右衛門が油の入った釜で釜茹での刑に処せられたことから、あれほどは熱くなかった、ということですが、いま灸をあわてて払ったばかりで、どの口が言うかの減らず口。負けず嫌いにもほどがありますww
『文七元結』要らねぇ。俺だって江戸っ子だ。やっちゃったものをいまさら返すと言われて、はいそうですかとは受け取れねえ。
きっぷのいいのはわかります。ただ度が過ぎてますって、誰か止めて!
●演目:『文七元結』
●セリフ:長兵衛 → 近江屋卯兵衛
左官の長兵衛の一人娘、お久が吉原の大店、佐野槌へ行ってこしらえた五十両という大金。それを長兵衛は、回収した売掛金をすられてしまい、吾妻橋で身を投げようとしている奉公人の文七に与えてしまう。そもそもは文七の誤解。売掛金は回収先の屋敷に置き忘れていただけだった。
翌日、文七を連れてその主人の近江屋卯兵衛が長兵衛の長屋へやってくる。卯兵衛がお礼とともに、五十両を長兵衛に返そうと差し出したところで、この長兵衛のセリフ。
要らねぇ。俺だって江戸っ子だ。やっちゃったものをいまさら返すと言われて、はいそうですかとは受け取れねえ。
きっぷのいいのが江戸っ子の粋。一度自分の手から離れたものに未練などない、という面子が大事。が、博打で一文無しの長兵衛。まして大切な一人娘がやっとの思いでつくったお金。このとき観客はみんな、心のなかで叫んでます。
「長兵衛のバカ! 誰か止めて!」
「一度手放したものはスパッと諦める」というこの江戸ッ子気質は『三方一両損』『井戸の茶碗』でも噺のキモになっています。
『たがや』たがやはおれの親戚だ!
出たっ! 江戸ッ子の判官贔屓
●演目:『たがや』
●セリフ:見物人 → 見物人
川開きの花火大会、見物人でごった返す両国橋。向こうからお供を連れた侍が馬に乗ってやってきた。混雑しているのでなかなか前に進まないが、そもそもこんな日に馬で通ろうとすることこそ迷惑。
向こうに行こうとするたがやの男が混雑にもまれて道具箱を落としてしまった。なかに入っていた箍が弾けて、侍が被っていた笠を弾き飛ばしてしまう。
箍というのは桶の板をグルリと囲んで絞める長い竹の棒です。
侍は怒った。たがやは懸命に謝る。
「たがや、悪くないよ」とたがやと侍たちを取り囲んだ見物人から声がかかる。
だが侍はたがやを許さない。やがてたがやもキレて居直った。供侍(お供してる侍)が刀を抜いてたがやに斬りかかる。
体をかわすたがや。刀を奪い取って供侍を斬ってしまう。ここでかかったのが縁もゆかりもない見物人からの、誰に言うでもなく口から出た、この自慢の一言。
たがやはおれの親戚だ!
さっそく自分の手柄にする調子の良さに笑ってしまいますが、根底には弱い者に味方したい判官贔屓の感情があります。江戸ッ子というより日本人に共通した気持ちではありますよね。
『道具屋』壊れた時計だって、一日に二度は合うよ。
そのとんち、素敵です
●演目:『道具屋』
●セリフ:与太郎 → 客
三十歳を過ぎてもブラブラしてるばかりの与太郎。おじさんに呼ばれ、露天で道具屋をやれと命じられる。道具屋で扱うのはガラクタばかり。
やってきた客が、壊れた時計を手にして「こんな壊れた時計じゃ、買ってもしょうがない」と言うのに与太郎が答えるセリフがこれ。
壊れた時計だって、一日に二度は合うよ。
ぼーっとして物事を深く考えない与太郎。
それだけに、多少不便でもそれが「なに?というだけのたくましさも持っています。それでいいのだ! 」と思わずヒザを打ちたくなる名セリフ。
一度そう思ってしまうとボロ時計に与太郎も妙に愛おしい。優しい気分に満たされてしまいます💘
『明烏』あのお稲荷さんは、なりが悪いとご利益が少ない。
ものの道理をわかってらっしゃる!
●演目:『明烏』
●セリフ:日向屋半兵衛 → せがれ時次郎
これは江戸の庶民というより、世事に長けた裕福な町人ゆえの、違いがわかる男のセリフ。
息子の時次郎がカタブツ過ぎるので、商売人としてうまくやっていけるだろうかとその将来を心配した父親、日向屋半兵衛。町内の遊び人たちに頼んで、時次郎を吉原に連れていってもらうことにした。
遊郭に行くなど考えたこともない時次郎には、お稲荷さんに行って一晩かけてお祈りするということにしてある。そこで父親からのアドバイスのこのセリフ。
あのお稲荷さんは、なりが悪いとご利益が少ない。
時次郎は女遊びに行くとは思っていないが、実際はズバリそれ。
女遊びに行くときにはいい服着たほうがモテるぜ、という酸いも甘いも噛み分けた父親からのありがたい一言。「いい服着てる → お金持ち → モテる」。はい、その通り。社会の当たり前ですね。
時次郎、あんた幸せものだよ。
『船徳』へぇ、ちょいと髭が伸びてたんで、あたってまいりました。
あんた、そこで気取るの?
●演目:『船徳』
●セリフ:徳兵衛 → 客
これも庶民じゃなく、基本金持ちゆえのカッコつけたい男、徳兵衛の名セリフ。
徳兵衛は遊びが過ぎて親から勘当中の大店の若だんなで、船宿で居候中。なに不自由なく育った優男です。
その優男が船頭になりたいと言い出した。船宿の親方はしょうがなく認めたが、危なっかしいので、客を乗せることはできない。ところが船頭がみんな出払っている日に客がやってきた。
客は徳兵衛を見つけてしまう。親方の留守をあずかる女将がしぶしぶ了承し、徳兵衛はいよいよ客を乗せて船を出すことになった。
女将が客を船のところへ案内するが、徳兵衛はなかなか姿を現さない。客をたっぷり待たせて、やっと現れた徳兵衛の一言がこの名セリフ。
へぇ、ちょいと髭が伸びてたんで、あたってまいりました。
徳兵衛、自分の晴れ舞台だからと、客を待たせて、ヒゲを剃っていたんですね。育ちの良さと金持ちの気取り性に笑ってしまう『船徳』イチの名セリフです。
『酢豆腐』安くて、数があって、見た目が洒落てて、腹につかえなくって、衛生にいい、なんてオツな暑い夏の酒の肴がないか考えてくれってんだよ。
江戸ッ子はオツにさっぱり食べたい
●演目:『酢豆腐』
●セリフ:月番 → 若い衆
町内の若い衆が集まって、みんなで一杯やりたいが、ツマミにはなにがいいかねえ、と話し合っている暑い夏の昼下がり。
ろくなツマミのアイディアが出てこないので、業を煮やした月番が、若い衆に言うセリフがこれ。
安くて、数があって、見た目が洒落てて、腹につかえなくって、衛生にいい、なんてオツな暑い夏の酒の肴がないか考えてくれってんだよ。
江戸ッ子の食の好みがズバリ表れていて、聴いていていい気分になるセリフです。ここはやっぱり、さわやかにさっぱり系だろう、と。
冷奴か、枝豆か。夏野菜の煮浸しなんてのも良いかも。といろいろ考えてしまいますww
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春風亭一之輔、柳家喬太郎、桃月庵白酒、
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