柔道から格闘技までこなす落語界きっての武闘派。しかし、体育会系と思いきやSF小説やカメラ好きの文化系の一面も。その他アウトドアや自転車などとにかく多趣味な彦いちさん。
新作落語を得意とし、自らの持ち味を追求した体育会系・熱血系のネタもあれば、不思議なSF系のネタもあり、新作の作風は多岐に渡る。
春風亭昇太、柳家喬太郎、三遊亭白鳥、神田山陽たちと結成した大人気落語ユニット「SWA」の一員でもある、彦いちさんの経歴・評価・私の実際に聴いた演目などをご紹介します。
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プロフィールと経歴
▼落語家になるまで&なった後
- 落語は読み物として小さい頃から好きだった。
- 国士舘大学時代に林家木久扇の高座を見て、そのキャラクターの面白さに衝撃をうけ落語家を目指す。
- 1989年12月に大学を中退し初代林家木久蔵(現:木久扇)に入門。3番弟子になる。前座名は「きく兵衛」
- 1990年に池袋演芸場にて初高座「寿限無」
- 前座の頃から新作落語を創り始める。
- 1993年5月に二ツ目昇進。「林家彦いち」に改名
- 2000年に北とぴあ落語大賞&NHK新人演芸大賞落語部門大賞受賞
- 2002年3月に入船亭扇辰と共に真打昇進
- 2004年に春風亭昇太、柳家喬太郎、三遊亭白鳥、神田山陽たちと新作落語を主とするSWAを旗揚げ&大人気に
- 2007年に彩の国落語大賞受賞
- 2015年に自作の創作落語「熱血怪談部」を絵本化
- 2017年4月に講談師の神田茜と離婚
▼エピソード
- 地理学科だったのもあり地形図好きで海岸線と等高線に魅力を感じる。
- 落語家になった後、三遊亭円丈の落語を見て衝撃を受ける。
- 自分の好きなSF関連の新作落語を作ることに迷いがあったが、円状師匠の落語の自由さをみて好きなようにやろうと決めた。
- 大学生の頃からSF小説が好き。好きな作家は筒井康隆、星新一、夢枕獏など。
- 高校時代は柔道部(二段)、大学時代は極真空手に熱中。
- 読売新聞に掲載したコラムが高校入試問題に採用された。
- 釣り、キャンプ、登山、カヌーにダイビングなど落語界きってのアウトドア遊びの達人。
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林家彦いちの魅力とオススメ演目
私が行った落語会より彦いちさんの魅力が詰まった落語をご紹介します。
ちなみに行ったのは2021年9月16日に国立演芸場で開かれた「橘家圓太郎の会 圓太郎ばなし」と2021年12月10日に横浜にぎわい座で開かれた真打昇進前の桂宮治さん独演会「よこはま宮治展」にゲスト出演した会。
『熱血怪談部』
演目名は『怪談倶楽部』ではなく『熱血怪談部』が正解らしいです。よく演目の掲示が間違っているそうですww
今回は橘家圓太郎師匠の独演会にゲスト出演した会なので、名作新作落語『熱血怪談部』の主役を圓太郎師匠にアレンジして演じますといい噺へ。
あらすじと感想
学校の怪談噺サークルに新しい顧問の先生がやってきた。
声が大きくてハイテンション。しかも圧がすごい。つまりこの先生が圓太郎師匠なのだ。
サークルの部員の怪談噺に「ダメだダメだ」とダメ出しを繰り返し「霊に始まり霊に終わる」と礼儀にもうるさい。
やがて生徒を帰し、校内を巡回。そこにのっぺらぼうが現れた。
「ダメだダメだ。どうした顔が消えているぞ。もったいない。いいもの持ってるんだけどなあ」とキビしい。
次いで女の幽霊が現れた。23年前に学校で殺された女の幽霊。
「ダメだダメだ。髪が長い。スカートも長い。校則違反だ。いいもの持ってるんだけどなあ」とまたダメ出し。
唐傘小僧、猫娘、砂かけばばあも現れるが、やっぱりダメ出し。やがて圓太郎先生の首が伸びて窓から学校の外へ。
外で誰かが話しているのが聞こえてきた。
「この学校、廃校になったんだけど、夕方になるとどこからか、ダメだダメだと聞こえてくるのよね」
圧がすごい顧問の先生は、まさに圓太郎師匠にピッタリだった。。。
その先生までもが幽霊だったとは。。。
そもそもその先生のハイテンションぶりは、彦いち師匠ご自身にピッタリなのですけれどもね。
熱血怪談部!爆笑でした!
新作落語『つばさ』
マクラで学校寄席での様子が話されることはよくあるが、この日の彦いち師匠によると、偏差値の高い学校の生徒ほどよく笑うのだそう。つまり偏差値が低いと、落語を理解できずに笑えない。で、落語ではなく、紙切りの話。
お客にその場で紙切りのリクエストを出してもらい、紙切りの師匠がそのリクエストに応えて即興で紙を切る。
オーバーヘッドプロジェクターなどで会場に映し出し、その見事さに会場がおお~っと沸く、というのが寄席の紙切り。その即興作品はリクエストを出した客にプレゼントされる。
彦いち師匠の前に、紙切りの林家正楽師匠が学校寄席の高座に上がった。
生徒からリクエストの手があがった。
「パンダ!」
正楽師匠はもちろんパンダを見事に切る。会場はおお~っと沸く。
「お次は?」と正楽師匠。なんと、また「パンダ」という声。結局「パンダ」を四枚切ってこの紙切りが終わった。
袖に引っ込んだ正楽師匠、見ていた彦いち師匠に、飄々としたあの感じで言った。
「今日はパンダが多かったな」
あらすじと感想
『つばさ』はSF新作落語で主役は彦いち師匠でそのままの落語家。人間たちの背中にはみんなつばさが生えているという世界。その人間につばさが生えている世界と生えていない世界を行ききするお噺。
彦いちさんが吾妻橋でつばさを休めているときに、ふと思った。
「つばさがあるってことはここから飛び降りても死ぬことはない。そうだ試しに橋の上から飛び降りて自殺体験をしてみよう。それで自殺する人間の気持ちを理解して新作落語を作ろう」。
身投げする人間の了見を確認してみたいと吾妻橋の欄干を乗り越え、後ろ手でカラダを支える。思わず手が滑って落下しそうになったところで、彦いちさんは別の世界へ突入。
「危ない!」と言って手を引っ張ってくれたのは、民生委員の山田さんという人だった。
この世界では、人間につばさはない。今日、彦いち師匠は浅草演芸ホールで『時そば』を演る予定になっていた。教わったままの、オリジナルの演出を施していない『時そば』。
楽屋では、新作落語のカリスマ・三遊亭圓丈が聴いていた。マズい、そう思いながらも『時そば』を話しはじめる。
こんな普通の『時そば』を演って果たして良かったのだろうかと悩む彦いちに、圓丈師匠が声をかけてくれた。圓丈師匠は「あれでいいんだよ」とほめてくれた。
吾妻橋で別の世界に迷い込んだので、つばさの生えてない世界の吾妻橋へ行き、なんとか元の世界に戻る。今度は思いっきり墨田川に飛び込んでみた。
「ブクブクブク。。。あれ? おれ生きてる。それに水のなかでも呼吸ができる」
どうやら今度はつばさは生えてない世界だが、水の中でも呼吸できるの世界に迷い込んだらしい。
彦いち師匠の傑作SF新作落語『つばさ』。11月15・16日に開催の「SWA CREATIVE TOUR」で披露された彦いち師匠の新作『身投げ自演』の元ネタでもあります。
▶「SWA CREATIVE TOUR」の落語会ルポは、こちらへどうぞ。
この噺は、三遊亭圓丈師匠の出てくるくだりがハイライト。
その圓丈師匠の訃報がつい先ごろのことだったので、この噺は絵空事でありながら、「あれでいいんだよ」という圓丈師匠のセリフ、口調がなんとも生々しく感じられた。
たぶん、彦いち師匠もそれを意識してこの『つばさ』を高座にかけたのかもしれない。
合掌。そして、彦いち師匠をはじめ新作をつくり演じる落語家たちに心からリスペクト。
林家彦いちのスケジュール
林家彦いちさんのスケジュールを簡単に確認できるのがチケットぴあ。もちろん寄席だとかぴあで販売してないものは載ってません。
ま、確実にチケットがあるなということはわかります。全部のスケジュールを知りたい方は林家彦いちさんは充実したHPをもっているのでそこをみれば基本的にはわかります。
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