初心者のために古典落語のあらすじをご紹介!
今回ご紹介する演目は『浜野矩随』。彫師名人の父が死に、跡を継ぐ息子。でも、息子は父にとても及ばない。母親が息子を想いある行動に出てしまう。
『浜野矩随』のあらすじと感想
“子を想う母親”
.人情噺. .親子愛.
簡単なあらすじ
腰元彫りの名人、浜野矩康が死に、あとにその女房と一人息子、矩随が残された。矩随は父親を継いで彫り師になるが、父親には遠く及ばない。
義理で品物を買ってくれていた若狭屋からも「全く話にならない」と三行半を叩きつけられ、絶望した矩随は自殺を決意してしまう。母親が息子のその思いを察し、死ぬ前にせめても息子の形見がほしい、観音様を彫ってくれと矩随に頼む。
四日目の朝、矩随は観音様をなんとか彫りあげた。
これを見た母親は「立派な観音様だわ。この観音様は若狭屋に持っていき、三十両で売ってきなさい。もし三十両で売れなければ好きにおよし」いう。
そして、矩随に喉が乾いたから水をもっておいでといい、茶碗にいれた水を半分飲み干す。矩随に四日間飲まず食わずで彫ったったんだろと、残りの半分の水をわたし、飲ませて送り出す。
観音様を見て若狭屋は「おお凄いじゃないか。親父の彫ったものがまだ残っていたんだな」と喜んだ。目利きの若狭屋でさえ、矩康のものに違いないと断言できるほど、その観音様は見事な出来だったのだ。
矩随は、父親は観音様を彫ったことはなく、それは自分が丹精込めて彫ったものだと明かす。おっかさんに頼まれて彫ったこと、家を出る際に“水を半分ずつ飲んで出てきた”ということも話した。
若狭屋「ほんとか?ほんとにお前が掘ったものか。―― 腕をあげたというか、今回はとんでもない仕事をしたな。しかも、これはあんたの作品だ。父親の真似ばかりしようと思ってたあんたが、ついに自分の彫りを見つけたんだよ。いやあーこの作品ならまた取引しよう。んん⁉ちょっと待て!さっき水を半分づつ飲んできたといったな」
矩随「はい。母が送り出してくれた時に」
若狭屋「まずいぞ。それは水杯だ。すぐ帰れ。お母さんは自殺する気だ」と若狭屋が怒鳴った。
※水杯…二度と会えない時などの別れの時に、酒のかわりに水をつぎ杯をやりとりすること。
慌てた矩随が急いで家に帰ると母は手首を切りなくなっていた。矩随は鳴き側を抱き。。。
時間がない方へ超要約こんな話
父親の彫師の名人が死に跡を継いだ息子。でも継ぐほどの才能はあらず、父の取引先にも断られる始末。自信のなくなった息子は自殺を決意し、それをしった母親が形見に観音様を掘ってもらう。その観音様をもってもう一度、取引先に売買交渉をしてきなさいと頼む。
息子はいくと取引先はその観音様をいたく評価し買い取るという。息子は意気揚々と家に帰ると、息子の将来を暗示、母親は手首をきって自殺していた。
落語好きの視点
人の真似じゃダメ。自分の表現を最大限追求しろ。というメッセージ性に満ちた『浜野矩随』。
まだどこか地に足のついていない矩随に対し、商売人の矜持と嫌らしさも併せ持つ、人間臭い若狭屋との対比が鮮やか。
観音様はどうせ売れないだろうと思い込んだ母親の行く末が悲しい。ここ、助かる演出のほうを推したい。
ちなみに神田白山さんはTwitterでこのようにいってます。
浜野矩随を最近読んでいる。母親がすんでのところで助かる演出を最初はやっていたけど。
— 神田伯山 (@kanda_bou) May 15, 2022
最近はこの話を美談にするのは嫌だなと、母親が死ぬ本来のパターンで読んでいる。
この話は美談ではないと、つくづく思う。
他の人の演出はどうでもいいけど
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