三遊亭好楽と林家正蔵の「林家九蔵」をめぐる襲名トラブルを解説

事件簿林家九蔵 落語雑学
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師弟制度が残る落語界。江戸時代から連綿と伝えられる芸能を守り、伝承してきた伝統社会。良い意味では落語の格式を守り、悪い意味では敷居が高く気軽に入ってこれない雰囲気があります。

そんな落語界は個人事業主の集まりなので、歴史を振り返ってみれば、いろんな揉め事やいがみ合いも頻発しています。

ということでそんな落語界における揉め事を下世話にしらべてみました。

この記事の内容と結論

2018年2月頃のお話。三遊亭好楽の弟子の三遊亭好の助(ナポレオンズのボナ植木の実息)が真打昇進にあたり、好楽さんは自身のかつての名前「林家九蔵」を襲名させようとさせた。しかし、林家正蔵側がそれに反対し襲名がながれた話。

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三遊亭好楽VS林家正蔵の間に起きた襲名トラブル

●抑えておきたい基本情報

  • 2018年3月3日にスポーツ報知がスクープしテレビ等でも取り上げられる。
  • 林家九蔵の名前を襲名することが争いの元
  • 三遊亭好楽vs林家正蔵&海老名家の争い
  • 俗に住んでる場所から先代林家正蔵は“稲荷町”、林家正蔵及び海老名家は“根岸”とよび同じ林家だが系列が違う。

「三遊亭好の助」さんは笑点でお馴染みの三遊亭好楽さんの三番弟子。彼を真打昇進させるにあたり、好楽さんは自分が前座時代から真打昇進後の17年間、三遊亭圓楽門下に移るまで使っていた愛着のある名前「林家九蔵」を襲名させようと考えていた。

しかし九代目林家正蔵(元林家こぶ平)&海老名香葉子さん側からそれに対して物言いがあった。林家九蔵の名前を襲名するのは反対だと。

元々、三遊亭好楽さんは八代目林家正蔵さんに入門し落語家になった人。かつては海老名家とも同じ林家一門であった。

だが、好楽さんが八代目林家正蔵の死去後、円楽一門会に移籍。協会を移ったことやいろんな事情が絡みあった結果、結局海老名家側が押し切って襲名は取り下げられることに。

好楽さん側もゴタゴタのある名前は新たな門出にふさわしくないと取り下げを了承した。

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三遊亭好楽側と林家正蔵側の主張

双方の意見
三遊亭好楽側の主張
  • 『林家九蔵』の名付け親であり、師匠の先代「林家正蔵」のご遺族及び円楽一門会からは襲名の了承をえている。
  • 林家九蔵は好楽さんが先代の林家正蔵よりいただいた名前なので、海老名家側が反対する権利はない。
  • 好楽師匠の兄弟子の林家木久扇師匠からは襲名を了承してくもらってる。
  • 歴史ある大名跡ではなく、師匠から好楽さんがもらった名前をどうするかは好楽側に権利がある。
林家正蔵&海老名家側の主張
  • 好楽さんは林家門下から三遊亭門下にうつられたので、三遊亭一門にもかかわらず林家を名乗るのはおかしい。
  • 落語協会が気に入らずに脱退し円楽一門会を作ったのだから、いまさら落語協会に属する林家の屋号を継承するのはおかしい。
  • 事前に襲名をする話を聴いてない。新聞で知った。義理を欠いてる。

双方の話し合い

話し合い

2018年2月に好楽さんは海老名家を訪れて約3時間ほど説得します。しかし、正蔵さんと海老名香葉子さんは襲名を結局、了承しませんでした。

実は海老名香葉子さんが強烈に反対し、林家正蔵さんはそこまで反対でもなかったとの話も。とにかく林家に関する名前は、たとえ名跡でもない「九蔵」という小さな名前でも、管理下に置きたいとの考えがあったのではないでしょうか。

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結論と損害について

頭を抱える

2018年4月24日、三遊亭好の助は真打昇進披露公演のみを行いました。結局、襲名は断念しました。

しかし、すでに真打昇進・襲名披露公演のために、名前をいれた手ぬぐいや扇子等のグッズをつくっていたので、新たに作り直すことにより200万以上の損失が三遊亭好の助にのしかかったといいます。

▼オリコンの記事より引用

●三遊亭好楽さんの弁
17年間、「林家九蔵」として活動していた好楽は、愛着のある前名を継がせようと働きかけたが「海老名のおかみさん(海老名香葉子さん)を3時間口説いたけど、『三遊亭が林家を名乗るのはおかしい』と。もめ事のあった名前は良くないので…。私の勇み足だった」と反省。

 今回の騒動で両者に“わだかまり”はないといい、「和気あいあいと。弟のようにかわいがっている(林家)三平くんも(会見後の)パーティーにも来てくれる」と明かし、「全国的に『三遊亭好の助』という名前がワイドショーで扱ってもらったので、これはしてやったりだなと」としたり顔を浮かべた。

ttps://www.oricon.co.jp/news/2110152/full/

●三遊亭好の助の弁
「師匠が九蔵が好きだということも知っていたので(襲名が取りやめになり)“この野郎”と思うこともありましたよ。『マスコミに取り上げてもらっていいじゃないか』と言ってもらうこともあったけど、僕が九蔵を継いでマスコミに取り上げてもらうことは、結果次第でどうにかなることですから」と吐露。「今後、『林家九蔵』を誰も継がなくなるんじゃないかと思うと、それはそれで寂しいものもあります」と心境を打ち明けた。

https://www.oricon.co.jp/news/2110152/full/
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襲名問題の本質

落語家の名前の権利はだれがもってるかというのが明文化されてない

遺族が持ってる場合もあれば、協会や一門が持っている場合など様々。ただそれも権利書があるわけではないので揉める原因になります。ちなみに上方では所属事務所が持ってるという話も。

実際、三遊亭円生の襲名や、神田伯山の伯山という大名跡についても権利関係でもめたりいざこざがありました。

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