破門された落語家の理由&エピソード紹介/柳亭小痴楽・立川談志・三遊亭好楽等

破門落語家 落語雑学
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落語界は現在も師弟制度。落語家になるためには真打の師匠に弟子入りして落語家修行をします。

見習い→前座→二ツ目→真打と、真打になるには平均12年もかかる厳しく長い修行

特に伝統的な部分が色濃く残る落語界では先輩・後輩の強固な関係性や、人としての立派な立ち振舞いが求められます。

そんな落語界において何度も師匠を怒らせて破門された人も数知れず。

今回はなんども破門され、それでも生き残った落語家やその破門されたエピソードを集めてみました。

この記事の内容
  • 破門された落語家の回数・理由・エピソード紹介
  • 破門後の対応と師匠との関係性
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三遊亭好楽〈破門23回〉


熱燗二本~噺家一代~

笑点でおなじみの三遊亭好楽さん。画面に映る姿はどちらかというと真面目で常識人キャラ。しかし、そんなイメージを裏切る23回の破門。

23回の破門はいずれも初めての師匠である8代目林家正蔵にされたもの。その師匠も真打ちになって1年後おなくなりになりました。その後は以前からかわいがってもらっていた、5代目三遊亭円楽さんに弟子入り。

どちらもとにかく怒る師匠だったと話しますが、ま、これだけやらかしていれば怒られるのも当然かなとw

破門回数:23回
●理由:酒の失敗
●師匠:8代目林家正蔵→5代目三遊亭圓楽

好楽さんの破門理由

全部酒がらみでの失敗!

  • 本来飲んでは行けない前座時代に酒を飲んでバレる
  • 酔っ払って師匠の大事なカバンを置き忘れる
  • 師匠への祝い酒を留守番中に仲間と飲み干しバレる
  • 師匠のツケでスナックで酒を飲み、高い請求額に師匠が激怒(母親が建て替えて許してもらう)

破門を言い渡されたときの対応

とにかく泣いてすぐにお詫びして許しをこう。でもすぐ忘れてまた酒絡みで失敗する。

▶好楽が見た昭和の名人たちの素顔〈本〉

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柳亭小痴楽〈破門17回〉

2019年9月に真打に昇進。16歳で入門した五代目柳亭痴楽の次男。現代の真面目な人が多い落語界において驚異の17回の破門。

父親に入門しようとした矢先、病で倒れ、桂文治に弟子入りする。

キャラは乱暴者のヤンチャ小僧でいじられもするが、気風の良い古典落語を披露する若手人気落語家。

神田伯山桂宮治春風亭昇々など11名が集まり成金というユニットを組んでいました(現在は解散してるが年に1回特別公演あり)。

破門回数:17回
理由:遅刻
師匠:桂文治

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小痴楽さんの破門理由

寝坊で遅刻としくじりを繰り返す!

  • 師匠に「明日の昼12時に来なさい」と言われ、その時間にいったら明日ではなく明後日の12時だった。なんと丸一日寝ていた。
  • 寝坊したくないので寄席に行く時は始発で行って寄席の近くで寝ていた。
  • 師匠は高座に上がる時は絶対に黒紋付って決めていたのに、師匠の黒紋付を預かったまま寝坊してしまい、師匠が着れなかった。
  • やってない事を師匠に告げ口され、その密告張本人の先輩に小痴楽が喧嘩をふっかけ揉めた。

破門を言い渡されたときの対応

  • 通常破門されると別の真打へ移籍するのが基本。小痴楽さんの場合は桂歌丸三遊亭小遊三が預かるといってくれたのだが、「文治より格上の師匠へ移籍したら師匠の顔を潰す」ということで廃業を決意。しかし、小遊三に説得され父である痴楽門下へ移籍という形をとった。
  • 破門後、父親の痴楽に戻され「桂ち太郎」から「柳亭ち太郎」に改名。その後すぐに痴楽がなくなり、痴楽の弟弟子の柳亭楽輔門下に移籍。文治師匠とは現在も関係は良好。

▶柳亭小痴楽のまくらを集めた本「まくらばな」

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立川談志〈破門80回〉


ドキュメント立川談志

まさに真打登場!もはや数えてないかもしれない前代未聞の80回の破門!

とにかく話題に事欠かない落語家で落語界の異才、風雲児などと呼ばれた立川談志。16歳で5代目柳家小さんに入門後、紆余曲折ありながら、後世に語り継がれる落語家となりました。

とにかく型にはまらない。真打昇進制度に納得できず落語協会を飛び出し立川流を設立。参議院選挙にでる。などなど。

談志本人も自分の弟子を破門してますが、自分も師匠に破門されてます。談志さんのよく言う、落語は“業の肯定(人間の駄目さを肯定する)”は自分の肯定だったのかも(笑)。

破門回数:80回
理由:横柄な態度
師匠:5代目柳家小さん

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談志さんの破門理由

師匠や先輩に対する葉に着せない言動や横柄な態度

  • 師匠小さんとの初対面で名跡の「小三治をくれ」という
  • 落語協会を出て険悪になった師匠と弟子。仲間が仲を取り持ち師匠に謝りに行くことになってたが、約束の時間に行かず、あっち(師匠)が勝手に怒ってるんだから怒らしとけうそぶく。
  • 若手に気を使い、噺を少しずつ教えてくれる優しい7代目林家正蔵に対して「しみったれないで、一気に教えてくださいよ」と注文をつける。
  • 大事な宴席に遅刻し8代目桂文楽に激怒されるが、気にもとめず酒を飲み、料理を浴びるように食べる。
  • 代替出演で落語会にでてくれた大先輩「2代目桂小金治」に「落語を忘れちゃった兄さんを救うために親切心から会に呼んだ」と言い放つ。

師匠と談志の関係性

親子喧嘩しているような仲

  • 師匠をヘッドロックしながら頭をたたく。師匠は怒らず「よしな。やめな」というだけ。
  • 師匠になんでお前はいつもそうなんだと言われると「あたしも師匠の年になればわかりますよ」と返す。
  • パーティーで一緒になった談志と小さんが喧嘩。靴を履く小さんに談志が靴ベラを出す。怒ってる小さんは「余計なことするな」とご立腹。その後、談志が師匠に抱き付き「打ち上げに行こうよぉ」と駄々っ子ぶりを発揮。
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三遊亭遊雀〈破門1回〉

▼経緯
1988年2月/柳家権太楼に入門
1991年10月/二ツ目昇進。三太楼と改名
2001年9月/真打昇進
2006年/破門
2006年10月/三遊亭小遊三門下に移籍

理由
噂ベースになってしまいますが、2006年に酒の席において、三遊亭遊雀が仕事の段取りの件で師匠と喧嘩になりなぐったという噂。

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大学を中退し1988年2月に三代目柳家権太楼に入門。真打昇進後の2006年に破門。理由は師匠を殴ったから⁉

その後、2006年10月に落語芸術協会の三遊亭小遊三門下に移籍。「遊雀」と改名。

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柳家三三の弟子「春風亭かけ橋」

▼経緯
2012年/柳家三三入門
2016年/二ツ目昇進
2018年/破門(移籍の方が近い)
2018年7月/春風亭柳橋に弟子入り
2022年7月/二ツ目昇進

理由
正確なことはどちらも口外してません。ただかけ橋いわく、出来が悪くて未熟だったので師匠に迷惑ばかりおかけしたこと。さらに、自らやめたことをほめのめかしています。


2012年に柳家三三に入門。2016年二ツ目昇進したのちに三三さんから破門され、2018年7月に落語芸術協会の春風亭柳橋に弟子入り。現在二ツ目。

本人曰く「未熟で迷惑ばかりかけた師匠に申し訳が立たない」と自らやめたことをほのめかしています。

移籍の経緯は、柳家三三さんが春風亭柳橋に電話した後に浅草演芸ホールの楽屋に訪ねていって、弟子の移籍をお願いしたそう。

なぜ春風亭柳橋さんかは、かけ橋さんが楽屋であった柳橋さんの対応の優しさに心を動かされたから。おそらく、三三さんがそれを聞き入れ、師匠みずからお願いに言ったのだと思います。

しかも柳橋さんから出された条件は前座修業からというもの。

そして2022年7月に二ツ目昇進。なんと2022年10月24日に行われる「春風亭かけ橋二ツ目昇進記念落語会」には、柳橋、三三がゲスト出演し口上を行うことが決まりました。

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