古典落語『大工調べ』のあらすじ（オチ）をわかりやすく紹介！

初心者のために落語のあらすじをご紹介！

借金の抵当（かた）に大工道具を大家に奪われた大工さんの噺。威勢のいい江戸っ子の親方がかけあいますが、結局奉行所による裁定にまでもつれ込みます。

落語の動画として入れていますので見てみてください。

『大工調べ』のあらすじと感想

“チャキチャキ江戸っ子の胸のすく啖呵に拍手喝采”

.人情噺. .仕事.

簡単なあらすじ

大工としては優秀なのだが人として駄目な与太郎が仕事に出てこない。それで棟梁（親方）の政五郎が様子を見にやってきた。

与太郎は家賃を滞納していて、大家に商売道具である道具箱を家賃の抵当（かた）として取り上げられ、仕事に行けない状態だったのだ。その滞納額は一両八百文。呆れた政五郎。

でもこのままでは仕事も生活もできない。与太郎は年老いた母親を自分の稼ぎで支えており、仕事ができなければ二人とも生きていけない。

政五郎は持っていた一両を与太郎に渡す。「ありがとうございます。でも八百文足りません」という与太郎に、政五郎は威勢のいいタンカで返す。

「持ってけ泥棒！ 一両あれば御の字だ。八百文なくてもあたぼうよ」

与太郎は大家に一両を渡した。でも「八百文足りないから、道具箱は返せない」と大家。俺が出ていくしかねえかと政五郎は与太郎を連れて二人で誤りに行く。

「不足の八百文を払えば道具箱はすぐ返す」という大家に政五郎は「ちゃんとあとから納めるからなんとかすぐ道具箱を返してもらえねえか」と頼む。

しかし大家は断固拒否。何度もあたまを下げる政五郎だが交渉は決裂。

政五郎の我慢もこれまで。大家への批判がついに炸裂。

「やい！ 大家さんとかなんとか言ってやりゃつけ上りやがって！ てめえなんざ、血も涙もねえ、目も鼻も口もねえ、のっぺらぼうの丸太ん棒野郎だ。てめえなんざあ、人間の皮被った畜生だ〜」と立板に水のごとく続く（この言い立ては、この落語のイチバンの聞きどころ）

結局らちが明かないので、政五郎は南町奉行所に裁きを願い出る。ラスト、出ました！ 大岡越前による裁きの場。

奉行〉大家に対して家賃を払わないのは無礼。よって棟梁は大家に不足分の家賃を支払うように。ところで大家お前は質株（質屋の営業権）を持っているか。

大家〉おそれいります。ございません。

奉行〉ん？ 質株なくして道具箱を取り上げるはご法度（法律違反）。よって即刻与太郎に道具箱を返すよう命ずる。同時に違法に道具箱を留め置いた二十日分の大工の手間賃「銀二百匁」を払うよう。

〜これにて一件落着、みんなが帰ろうとすると奉行は棟梁を呼びつけた〜

奉行〉八百文文のかたに二百匁とはちと儲かったな。さすが大工は棟梁（細工は流流）

棟梁〉へえ、調べをごろうじろ（仕上げをご覧じろ）

※このオチは言葉遊び。いわゆるダジャレです。元は「細工は流々、仕上げをご覧じろ」。その意味は仕事のやり方は色々なのだから、途中でとやかく言わないで出来あがりを見てから批判して欲しいということ。※一両は、いまの10万円ほどの価値とされています。

時間がない方へ超要約こんな話

家賃を滞納した大工の与太郎が大家に商売道具を取り上げられる。親方の政五郎は大家と交渉し、なんとか道具箱を返却してもらおうとするのだが交渉は決裂し、裁判に。ここでおなじみ大岡越前が登場し、名裁きを披露。

▶「大工調べ」の動画は見たい方はコチラ

落語好きの視点

「大工調べ」の聞きどころは、政五郎が大家にマシンガンのように啖呵（たんか）を放つ「言い立て」。ここが落語家の腕の見せどころです。

ちなみに八百文ですが、いまの価値で2万円ほどであり、これは要らないだろうというところから入るのはどうなの？ という考え方もあり、これも否定できませんね〜

もうひとつ、「大工調べ」を下敷きに設定を現代にした、春風亭百栄師匠の古典改作「マザコン調べ」は、爆笑が止まらない新作落語の傑作です。ぜひみなさんチェックしてみてくださいね。

※啖呵…江戸弁で威勢よくまくし立てる様

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