柳家喬太郎さんが日大・落研時代に初めてつくった新作『純情日記横浜篇』。
真打昇進披露興行の初日にも口演した。
落研の大学生がある女性に恋をする。昭和の頃、僕らにケータイなどなかった。甘酸っぱくて、苦い、昭和グラフィティ。
『純情日記横浜篇』のあらすじと感想
時代は昭和。大学の落研の部室、藤川が落語『黄金餅』の稽古をしているところに、友人の渡辺がやってきた。渡辺はなんだか浮かない顔。悩みごとがあるらしい。
「いったいなんでえ。話を聞いてやろうじゃねえか」という藤川。口調がすでに落語が染み付いてる。
渡辺は「実は、バイト先で好きな女の子ができた」と打ち明ける。
藤川「おうおういいじゃねえか、いっぱしの男ならタターンと告白しちまいな」
当たってくだけろと、結局は電話してデートに誘うしかない。携帯電話がまだなかった時代、渡辺が女の子の自宅に電話したところ、運良く彼女が出て、しかもデートの誘いもOKをもらう。
二人は横浜・関内駅で、木曜日15時に待ち合わせと決まった。
当日、二人は横浜市内をぐるぐるとデートする。横浜中華街で夕食を食べた後、日の落ちた山下公園で、酔った渡辺は思い切って「好きだ」と告白する。
そして「ダメなら、目をつぶって10数えている間にいなくなって」と彼女に言う。
渡辺が数え終わってゆっくり目を開けたとき、彼女はまだ目の前にたっていた。渡辺はうれしくてたまらない。が、帰りの駅で彼女は渡辺に思いもよらぬ言葉を告げる。
「ごめんね、実は……わたし横浜初めてだから、一人で駅に帰れなかったの。だから一緒についてきてほしくて…。」
渡辺はすべてを察し、感情を表に出さないようにしていった。「そうなんだ。大丈夫。気にしないで。」
感想
冒頭、落研で落語『黄金餅』の稽古をしているというところがミソ。
『黄金餅』は乞食坊主の金を長屋の隣の男が奪おうとする陰惨な噺。その聴きどころは下谷から麻布まで亡骸を運ぶシーンで、上野山下から広小路〜と町名をテンポ良く言い立てるところ。
このシーンが横浜・関内駅からスタートするデートシーンにそのまま移し替えられているという仕組み。落語好きを喜ばせるこのくだり、たまりません。
携帯、スマホがなく、固定電話しかなかった昭和の時代。彼女の自宅に電話するのは、親が出たらどうしようと、ちょっと勇気が要りましたww
当然、Google Mapもなかったわけで、渡辺、ああ無残ww
※良ければ純情日記港崎篇という作品も連作のようになってますのでチェック!
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