初心者のために古典落語のあらすじをご紹介!
今回ご紹介する演目は『宿屋の富』。貧乏な男は宿屋にとまり、自分は金持ちなんだとアピールするが、宝くじがあたったことにより、それがバレてしまうお噺。
『宿屋の富』のあらすじと感想
“ハッタリはバレル”
.滑稽噺.
簡単なあらすじ
神田馬喰町の宿屋に一人の男が泊まっていた。田舎からやってきた男が、この安宿に泊まってもう何日にもなる。
宿代を持っていないのではないかと不安になった宿の亭主が、その男の部屋に上がって話を聞いたところ、男は自分は大金持ちだと言う。
男は言う。
「金のない大名に金を貸すんだ。そうするとみんな利子をつけて返してくる。だから金が増えてしまってどうしようもない。いま江戸で、金を返してくれるなと言って回っているだよ。」
「田舎に家があって離れもあるんだけど、大きい家だから離れに行くのに7日かかるだよ。最近なんか蔵に着いた泥棒に、千両箱を好きなだけくれてやったんだ」
なにやら大きなことをいう男。もちろんただのハッタリで本当は貧乏。その話を信じた宿の亭主は内職として売っている、富くじを男に一枚買ってもらう。その番号は「鶴の千三百五十八番」。さらに亭主は「もし当たったら半分ください」と申し出る。
もちろん男は、金が余って困っている大金持ちを装っているので、これを断ることができずに応じる。「当たると金が増えて困る」という男に「当たりっこございませんから」と宿の亭主。
本当のところはなけなしの金をはたいて買ったその富くじ。男が椙森すぎのもり神社に行くと、抽選はすでに終わっていて、当たりの番号が貼り出されていた。一番最後の千両富くじの番号は「鶴の千三百五十八番」だ。
男は驚きの声を上げる!
「あたたた、当たってる!やばい500両だ!!」
男は興奮のあまり気分が悪くなり、宿屋に帰って二階に上がることもできず、下の部屋で布団を被って震えている。
そこへ千両富くじが当たったことを知った宿の亭主も、勢いいさんで帰ってきた。「お客さん!聞ききました。あの富くじあたったんですね」と興奮のあまり、下駄を履いたまま、部屋に上がりこんできた。
宿の亭主「お客様、おめでとう存じます!それで、半分いただけるというお約束、お忘れではございませんな?」
男はあまりの衝撃に興奮していたが、ここは余裕を見せなければいけない。「おうおう。こんなはした金あげるよ。半分だな。あ~、持っていきなせい」
宿の亭主「さすが旦那さん。このぐらいのお金では微動だにしませんね」
男は布団から立ち上がりお金を半分宿の亭主にわたす。そのとき宿の亭主はみた。男も下駄を履いたままだったのを。
時間がない方へ超要約こんな話
金のない男が安宿に泊まっていた。宿の亭主は、ひょっとしたら金がないのではないかと疑うが、男は金持ちアピールを繰り返す。一応信じて、ある約束をする。それは富くじを買ってもらい、もしあたったら半分くださいとのことだった。男は承知し富くじを買うと、なんとそれが大当たり。
男は金はあると余裕を見せてたのに、あまりの取り乱しに、亭主にやっぱり貧乏なんだとバレてしまう。
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