初心者のために落語のあらすじをご紹介!
落語には親子が出てくる噺がたくさんあります。『藪入り』は商家に住み込みで奉公している(働いている)息子が久しぶりに家に帰ってくる、その家族の噺。
父親は久しぶりに会える息子に、帰ってきたらあれ食べさせて、ここ連れてってなどと妄想をふくらます。いざ息子が帰ってきて、そこで一悶着。。。
『藪入り』のあらすじと感想
“親思いの子供、子供思いの親”
.滑稽噺. .親子.
簡単なあらすじ
商家に奉公している一人息子の亀吉が藪入り(正月とお盆の休み)で、何年かぶりで家に帰ってくる。明日の朝帰ってくるのだが、父親は会えるのが楽しみでなかなか寝付けない。
夜中、布団のなかで父親は言う「どうも今日は時が経つのが遅いような気がする」。とにかく父親は息子に会えるのが嬉しくってたまらない。
寝付けないどころか目が冴えてきて、いろんな事を言い始めた。
「よーし。帰ってきたら、あったけえおまんま食わしてやろう。おかずはなにがいいかな。まずは味噌汁だろ、焼海苔、それと納豆に、刺し身は中トロのいいとこだな。天ぷらはエビやホタテがどっさり入ったやつ。洋食もいいな。あいつ油っこいの好きだからなあ。カツレツ、オムレツ、ビフテキだな。うなぎもいいな。そうだ、あいつは寿司が好きだった。寿司も用意しよう」とキリがない。
次いで「そうだ。あいつ連れて、浅草に墓参り行こう。小せえころ行っただけで、もうずいぶん行ってねえから喜ぶぞ」と言いだし、「せっかくだから」と連れていきたい先が江戸を飛び出してはるか遠くまで及んでしまう始末。
二人して一睡もできないまま五時になった。まだ外は真っ暗だ。まだまだ息子が帰ってくる時間には早すぎのに父親は言いだす。
父親「よし、おっかあ、飯炊け」
母親「何時だと思ってるんだい。今炊いたら、亀が食べる頃にはお冷ご飯になっちまうよ」
父親「お冷ご飯でもいいんだ、あったけえおまんま食わせろ」
もう言ってることが支離滅裂。そしてついに亀吉が帰ってきた。父親はうれしさのあまり緊張して息子を見ることもできない。
父親「亀、大きくなったか」
母親「情けないねえ、自分で見なよ」
ぎこちなかった会話もしばらくして、やっと打ち解けた。父親は「おめえ、朝湯行ってひとっぷろ浴びてこい。桜湯、きれいになったんだよ。いいか、ゆっくり入ってこい。早くけえってこいよ」と送り出した。
亀吉が朝湯にいってる間に、亀吉の財布にお小遣いをいれてあげようとした母親が、そこに小さく畳まれた五円札が三枚あるのを見つけた。
母親は疑った。もしかしてどこから盗んだ金ではないか。十五円というのはさすがに多すぎる。「お前さん。これ、見て」。父親に財布の中身を見せる。「どっからこんな金を。ひょっとして野郎、盗みでもしやがったか」と父親は怒る。
亀吉が朝湯から戻った。父親は亀吉に手を挙げる「いつから人の物を盗むような人間になった!!」。母親「逃げな。おっかさんが悪いの。ちょいと覗いてしまったんだよ」
亀吉は泣き出してしまった。
「うえーん。ちがうよ、盗ったんじゃない、盗ったんじゃないよう。ねずみの懸賞に当たったんだよう。特等の十五円が当たったんだよう。店の旦那さんに預かってもらっていたのを、うちに持ってってやんなって旦那さんに言われて、今朝、渡されたんだよう。あとで驚かそうと思って、渡そうと思っていたんだよう」
父親「ごめんな、亀。そうか、そうだったのか。疑って悪かった。ねずみの懸賞に当たったんだな。それをとっておいて渡してくれるなんていいご主人さまだ。大事しろ。これもみんな忠のおかげだ」
時間がない方へ超要約こんな話
久しぶりに家に帰ってくる息子の帰りを待つ父親。帰ってきたらあれ食べさせて、あそこ連れてってなどと思いを巡らせる。そして息子が帰ってきたが、息子の財布に大金が入っていた。
息子がどこかから盗んだと思い込み怒る父。その大金は懸賞に当たったものだった。勘違いだったと謝る父。親子の愛がいっぱいの噺です。
落語好きの視点
明治初期、衛生状態もあまり良くなかった頃、ねずみをつかまえて交番に持って行くとお小遣いがもらえ、懸賞金が出ることもあった。
落語家がそんなマクラをふったときは、噺はもう『藪入り』に入っています。普段は会えないだけに、親子の愛もどんどん募っていく。その様子に聴いていて思わずウルっ💧。いい噺だなあ。
ちなみに「藪入り」という言葉、一見ナゾですが、奉公人が実家に帰る「宿入り」がなまって「藪入り」になったと言われています。
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