初心者のために古典落語のあらすじをご紹介!
今回ご紹介する演目は『狸札』。助けた子狸がお礼に恩返しに来る話。
『狸札』のあらすじと感想
“子狸の恩返し”
.滑稽噺.
簡単なあらすじ
いじめていた子狸を助けた八五郎。しばらくして恩返しにやってきた。
お礼も恩返しもいらないようという八五郎に、親からどうしても行ってこいと言われたという。今日は遅いのでと泊めてやると、翌朝八五郎をおこす声が。
「起きてくだせい。ご飯の支度ができました」
見てみると見覚えのない小僧。だれだと聞いてみると、小僧に化けた子狸だという。さらに食材は子狸がお金に化けて買ってきたもんだという。
そこで八五郎はあることをひらめき、子狸にお願いをする。
八五郎〉お礼の件なんだが、明日飲み屋の主人がツケで飲んでいた4円50銭を取りに来るんだ。でもいま金がなくて…。そこでお願いなんだが、お金に化けてくれないか?
子狸〉おやすい御用です!
八五郎〉ありがてぇ。じゃあ1円札5枚でどうだい?
子狸〉わかりやした。でもオイラ1匹なんで5枚は無理だから、5円札に化けやす。
次の日、子狸は約束をはたそうとお札に化けるのだが、まだまだ修行の身。なかなかうまくいかない。何度か繰り返しうまいこと化けることができたのだが、曲げたり畳んだりしないでくれと注文がつく。
そして飲み屋の主人がやってきた。八五郎は約束の代金の4円50銭を払うため、迷惑かけたから釣りはとっときなと、5円札を渡した。ただ、渡す時にある忠告をした。
八五郎〉そのお札だけど丁寧に扱ってくれ。何だか作りが悪いのか破けやすそうなんだ。
主人はわかりましたといって帰っていった。八五郎は安堵しゆっくりしてると、しばらくして子狸が飛び込んできた。
八五郎〉どうしたい?
子狸〉いや、なんかあのあと、飲み屋の主人がお札を怪しんで太陽に透かしたり、折り曲げたり、小さな財布に押し込まれたりするもんだから、スキをみて逃げてきちまいました。
八五郎〉そうかい。余計なこと言っちまったせいで怪しまれたか…。でもまあ、バレなかったんだよな。
子狸〉それはもちろん。
八五郎〉それなら良かった。ありがとよ。助かったよ。
すると子狸はお金を差し出した。
八五郎〉ん、なんだいそれは⁉
子狸〉へえ、逃げる時に財布の中に五円札が三枚あったんで、お土産に持って参りました。
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