人気と実力を兼ね備えた若手にして、浪曲の将来を担うであろうと期待される太福さん。
浪曲界で今や人気・注目NO.1の玉川大福さん。国本武春亡きあと、浪曲の未来を担う最有力として注目されています。
「天保水滸伝」や「清水次郎長伝」といった古典の名作はもちろん、上司と部下のなにげないやりとりを描いた新作の「地べたの二人」シリーズも好評。振り幅の大きい浪曲師です
ということで浪曲師「玉川太福」さんの経歴・演目・評価などをご紹介します。
プロフィールとエピソード集
▼浪曲師になるまで
- 2,000年に千葉大学経済学科卒業後、放送作家、お笑い芸人、演劇などをやっていた。
- 演劇つながりで知り合った俳優の村松利史に浪曲を勧められる。
- 玉川福太郎の独演会にいくが始めはピンとこなかった。
- 浪曲定席「浅草木馬亭」に通い出し、三ヶ月ほどするとどんどん浪曲の魅力に惹かれていく。
- 村松さんから 「浪曲師に弟子入りしちゃえば」といわれ、本気で浪曲師への道を考え始める。
- 2007年に浪曲師のなり方がわからず、日本浪曲協会の事務所を訪ねる。
- 玉川福太郎に入門したいと伝えると、協会の方が電話してくれ会うことに。
2007年3月5日。喫茶店で玉川福太郎師匠に会う。弟子入りしたい思いを話すと、パンチパーマで強面の師匠になにを言われるかビビったが、「そうか。じゃあ、2、3年基礎を勉強して、それからどんな浪曲やるか、楽しみだな」とあっさり入門OK
▼浪曲師になった後
- 2007年二代目玉川福太郎に入門。同年11月浅草木馬亭にて初舞台。名前を「玉川太福」とする。
- 弟子入り三ヶ月後に玉川福太郎が不慮の事故により死去し、一門のあずかりとなり修行する。
- 2015年10月、木馬亭にて名披露目興行。
- 2015年に第1回渋谷らくご創作大賞」受賞
- 2017年に第72回文化庁芸術祭大衆芸能部門新人賞受賞
- 2017年に落語家の春風亭昇々、瀧川鯉八、立川吉笑と落語+浪曲ユニット「ソーゾーシー」を結成。
- 2016年より「にいがた観光特使」
▼玉川太福のエピソード集
- 身長183cmで高校時代はラグビー部だった。
- 9歳年上の女性との出会いと結婚&子供あり
- 放送作家を目指したのは「ダウンタウンのガキの使いやあれへんで!」で、放送作家さんが画面に出ていて影響されたため。
- 村松利史さんに浪曲師になればと言われ、本当に弟子入りしたことを報告すると驚かれた。松村さんは実は冗談半分だった。
- 柳家小三治師匠が好きで落語も聞いていたが、落語家になりたいとは思わなかった。
- 弟子入りした日に家に連れてかれ浪曲をやらされた。
- 年間50公演を超える独演会を開催する。
- 映画「男はつらいよ」の全作品浪曲化にも挑戦している。
- 三味線の曲師は玉川みね子さんは師匠の奥さん。
- 持ちネタは100席以上
玉川太福のおすすめ演目
玉川太福さんの演目のなかから私が落語会等で聞いたものをご紹介します。
自転車水滸伝 ペダルとサドル
2021年7月31日(土)の夜、神保町のらくごカフェで開かれた、第22回三扇会という落語・講談・浪曲を一緒に楽しめる会に行ってきました。出演は林家たけ平、一龍斎貞寿、玉川太福がキマリのメンバーです。
玉川太福さん登場。三味線の曲師は玉川みね子師匠。
マクラ
その会は「和(話)製五輪」タイトルなのでまずはまくらでオリンピック噺。
「みなさん、ここにいるということはアンチオリンピックでしょ」とマクラに入り、自転車競技の面白さを語ってその流れで『自転車水滸伝 ペダルとサドル』へ。やっぱり、オリンピックはきっかけに過ぎなかった!
修行時代の太福さんの実話だという『自転車水滸伝 ペダルとサドル』
毎日の都内移動をもっぱら自転車に頼り、自転車をボロボロになるまで使い込んでいた頃の、下町の人情にあふれた新作浪曲。太福さんが浪曲をうなりながらペダルを漕いで都内を走る様子も目に浮かび、掛け値なしに面白い。
あらすじと感想
太福さんの若手時代、毎日28インチのシティサイクルで都内を移動していた。自宅のある荒川三丁目~浅草木馬亭~上野広小路亭~日本橋亭、移動中は大声で浪曲の稽古。
フラットハンドルのその自転車、ある日、右ペダルが曲がって使えなくなった。自転車屋いわく「どんな乗り方した?」。貧乏だった太福さんにとってシティサイクルは高価。
ママチャリは安いが遅い。しばらくはできる限り歩くことにした。少し痩せることができたそうな。
ある日、アパート1階の大家から電話があった。「乗ってない自転車が1台あるんだけど、玉川さん、よかったら乗る?」そのさりげない言葉に、太福さん、下町の粋な人情を感じて感激。
それは26インチ、シルバーのママチャリだった。これまでの前屈姿勢と変わって背筋が伸びるので、浪曲の稽古が思いっきりできた。以前よりいい声になった。大家さん、自転車といい声をありがとう。
そして3年後。着物、袴が入った大きなリュックを背負って走る183cmの男の重さで、サドルのバネの右が折れた。乗りにくいことおびただしい。そして後日気づいたら、バネは治っていた。不思議?
大家さんから「自転車どう?」と声をかけられた。バネは大家さんが溶接して治してくれていたのだ。なにも言わずにさりげなく治してくれた。これが下町の粋な人情。
大家は板金屋なので、溶接はお手のもの。またバネが折れた。大家さんいわく「玉川さん、ちょっと重いからねぇ。うちにサドルがひとつ余っているから、いま自転車屋にきてもらって直しているから」
このママチャリ、チェーンがすべて覆われているタイプの自転車だった。やがてそこから発する異音が大きくなってきた。
ガシャン!
ガシャン! ドン!
ガシャン! ドン! ガラガラ!
ガシャン! ドン! ガラガラ! バン!と音が増えてますます大きくなってくる。
太福さんの稽古の声に混じって発生する大きな異音に、すれちがうみんなが振り返る。反対車線も振り返る。
ここはもう太福さんの声の迫力とテンポの良さに大爆笑!
擬音でこんなに笑うってまずないよ!
三ノ輪駅のそばのドラッグストアの駐輪場に自転車を留めておいた。盗めるものなら盗んでみろと言わんばかりに鍵をかけずに。買い物をして帰ろうとしたらその鍵がない。
困ってそのままにしておいたら、翌日はベル。次には空気が抜かれ、どんどんパーツがなくなっていった。しかたなく近くの自転車屋へ持って行った。
「まだ乗るの?」という自転車屋がチェーンのカバーを開けたら、最重要のパーツ、ベアリングがなかった。心臓のないような自転車でもまだ動いていたのだ。。。
もうこの自転車を休ませてやれとの、これも下町の人情、メッセージなのかもしれない。
太福さんの傑作!新作浪花節でした。
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地べたの二人 愛しのロウリュ
玉川太福の大人気新作浪曲シリーズの「地べたの二人」シリーズ。2021年9月11日(土)、神保町のらくごカフェで開かれた「三笑亭夢丸・玉川太福二人会」で聞いた浪曲です。
三味線の曲師は若手の玉川鈴。
あらすじと感想
先輩の齋藤と後輩の金井、電気会社の作業員の同僚が、サウナへいくことに。二人とも実はサウナ初心者だった。
そこでロウリュというものを体験する。ロウリュウとはサウナ室に積まれた石(サウナストーン)に水をかけて蒸気を発生させ、サウナ内の湿度・温度を急上昇させること。
そしてそこに現れた熱波師なる男。彼が大型タオルでロウリュによって生まれた高温の蒸気を全身であおぐ。金井と斉藤はその灼熱の熱波に全身を包みこまれる。
先輩・後輩のなんだかかみ合わない会話。これでもう爆笑浪曲の出来上がり。
知りたがりの斉藤、覇気のなく知ったかぶりの金井。熱波師はなんだかおたくっぽく、早口なのでなにを言っているのか、半分わからない。
ちなみに今回の三味線の曲師はみね子師匠ではありませんでした。玉川鈴さんという若手のかわいい女性でした。
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玉川太福の活動
ソーゾーシーでの活動
2017年に結成した落語+浪曲ユニット「ソーゾーシー」での活動を積極展開!メンバーは春風亭昇々、瀧川鯉八、立川吉笑、そして玉川太福+玉川みね子。
ソーゾーシーとは?その目的と成り立ち、各メンバーの特徴、落語会の様子など気になる人はこちら
玉川太福さん出演スケジュール
スケジュールを簡単に確認できるのがチケットぴあ。もちろん寄席だとかぴあで販売してないものは載ってません。
ま、確実にチケットがあるなということはわかります。全部のスケジュールを知りたい方は充実したHPをもっているのでそこをみれば基本的にはわかります。
Twitterで日々情報発信!
【情報解禁】
— 玉川太福 (@tamagawadaifuku) March 22, 2022
2022年6月9日(木)19時開演
「玉川太福 芸歴15年記念独演会〜夏〜」
会場:国立演芸場
なんとなんと、山田洋次監督がトークゲストに
チケット発売は4月10日より。目指せ満員御礼ッ pic.twitter.com/xLj1duw1J8
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